あなたside
伏黒《百葉箱!?そんな所に特級呪物保管するとか、馬鹿すぎるでしょ》
僕らのあたりが静かなせいか、伏黒の声がよく聞こえる。
五条「アハハ。でも、おかげで回収も楽でしょ」
電話越しの伏黒に、ヘラヘラと笑って言う五条。
うわぁ、バリバリ原作……。すご、本物だ…………((
伏黒《…………ないですよ》
五条「え?」
伏黒《百葉箱。空っぽです》
おっと。これは多分、キレてる声。
五条「マジで?ウケるねw」
伏黒《ぶん殴りますよ………》
あっ、まって、ガチギレだコレ。
五条「それ、回収するまで帰ってきちゃ駄目だから」
そう言い終わると、プツリと電話を切った。
いや、今、絶対…………火に油注いだよね?
あなた「それはさすがに……教師としてどうかと思う。伏黒が可哀想」
五条「恵はいいとして、僕が教師ってことも知ってるのね。どこまで知ってるの??んん??」
あなた「いや、それ言ったら未来変わっちゃうかもだし。たとえ相手が誰であろうと言わない」
五条「へぇー、そんなこと言われたらますます気になっちゃうなぁ〜」
教えて欲しいなぁ〜!とダダをこねまくる五条(いい歳した大人)。
駄目だって。絶対嫌だ。と断っていたら、
「まぁ、いいや。甘いもん食べたくなってきた〜、コンビニ行こうよ」
と言った。…………けど、
五条は扉に向かわずに、僕から少し離れた所に歩み寄り、ナニカを拾った。
五条「何でも知ってるあなたにしつもーん!!コレはなんでしょうかっ!」
五条が持っていたのは、指だった。
そう。宿儺の指だ。
実際に見ると、想像よりもずっと禍々しい。
あなた「何でも知ってる訳じゃないけど、それは知ってる。指でしょ、両面宿儺の」
五条「やっぱり何でも知ってんじゃないのぉ??」
あなた「そんなことより、なんで僕よりも先に優先しなかったの?危険なものなんでしょ?」
五条「大丈夫、僕最強だから」
うん……、すっごい声がいいんだけど……。
あなた「理由になってなくない??」
五条「この指に集まってくる呪霊がいても、最強の僕がいるから大丈夫ってこと!!これでわかった??ハイ、返事ッ!!!」
急に、五条が両手でパンパン!と手を叩いた。
あなた「…………………………ハーイ」
僕はこの状況で、ハイテンションな大人のノリについていけず、少し間を開けて返事をした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。