第2話

『生きる意味ってなんですか!?』
122
2019/05/16 12:34
「ーーーーーーーーー。」




「ーーーは、ーーーーーーす。」

「次はーーーーーーーー。」

線路の上を走る音と、アナウンスの声が耳に入り…重たい瞼を開く。
相羽 望結 (アイバ ミユ )
……んっ…?
ちょっとだけ周りを見回すと…全部埋まっている席。

窓の向こうには真っ暗で灯りをつく街が見えた。

あぁ、電車に乗っていたんだった。

手に持っていたスマホのボタンを押すと、シンプルな画像と共に時間が出てきた。



【 19時 24分 】


「次は、○○駅です。ドア付近の方は気をつけてください。」
もう降りる駅…!?起きてよかった…。

スマホを鞄に入れて降りる支度を済ませると、立ち上がりドアへ向かう。

ドアのガラス辺りに私の顔がぼんやりと映る。

ただいま、20歳で大学生。……生きている理由が分かりません。それが悩みです…!

電車が走る速さが駅に近づくにつれて少しずつ遅くなって…そして、歩くペースと同じぐらいになって…

ギィーーー!という音と共に電車は止まる。
定期を取り出して改札を通り…アパートへ足を動かした。
年季が入っているスニーカーを見つめながら…今更そんなことを考えていた。



「あぁ、生きている価値なんてないんじゃないかな?」って……。


小さい時は、夢があったけれど…大きくなるにつれて自然と消えていった。

いや、現実というものを見て一つ一つ捨てて行った。
中学生、高校生…。普通に勉強にして過ごして…



何も考えずに大学へと進んできた結果がこれー。


相羽 望結 (アイバ ミユ )
いつ死んでも後悔はないかもなぁ…
静けさが広まる夜に…小さな声で呟いた。


別に苦しいわけじゃない。『死にたい!』という訳でもないが…『生きたい!』でもないんだよね。

やりたいことがないから。夢がないから。
生きていても……楽しくないから。


そういう理由で…そう思うのは、間違ってると言うのは分かってる…分かっているんだけどなぁ…。





アパートに着き、鍵を開けると…電気をつけずに中へ入り込んだ。

窓の向こうに一つ街灯があるからなのかそんなに真っ暗じゃない。

目も慣れてきたらほとんどのものは見える。
そういう面でこの部屋で良かったといつも思う。
相羽 望結 (アイバ ミユ )
明日は、休みだしさ…寝ろっと
お腹の虫の鳴き声も無視して…そのままベッドに崩れ倒れるのように横になって

目を閉じて静かに眠りに落ちた。







その時は気づかなかったけれど…

私以外に、【何者か】がこの部屋にこっそりと入り込んでいましたー。
ザザザッ……。




ザザッ………………。







【静かに布団をかける音】




ザザッ………。……キュー??

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