第16話

(16)
353
2020/11/11 17:54
あれから1ヶ月後。
私は退院し
週に1回通院しながら
学校に通っている。

もちろん部活動にも復帰した。

最近は春高に向けて
また練習試合や合宿が行われている。

それに、学校最大の行事
学校祭も1週間後に行われる。

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片岡 悠真
片岡 悠真
愛生、暇?
西山 愛生
西山 愛生
うん、暇やけど
片岡 悠真
片岡 悠真
ちょ、きてや
そう言われ、連れてこられたのは
空き教室
西山 愛生
西山 愛生
どしたん?
片岡 悠真
片岡 悠真
劇の練習
そう言われ、悠真は私を抱き締めた。
西山 愛生
西山 愛生
え、ちょ…
悠真?
私たちのクラスでは
劇をすることになった。

演目は「シンデレラ」
私はシンデレラ役をする事になったのだ。
片岡 悠真
片岡 悠真
北に何されてもドキドキしやんように練習
西山 愛生
西山 愛生
え?
片岡 悠真
片岡 悠真
ただの嫉妬。
西山 愛生
西山 愛生
嫉妬?
片岡 悠真
片岡 悠真
もう!何もない!
恥ずいから顔見やんといて
彼は俯きながら私を離した
(なんやねん…)
それから悠真は「頭冷やしてくる」と言って
空き教室から出て行った。

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kataoka yuma side...

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愛生が退院した。
学校にも部活動にも来ている。

愛生に振られてからも
俺はまだ愛生のことが好きだった。

北が好きなことも知っていた。
俺に気が向かないことも知っていた。

それでも、彼女のことが好きだった。

あと1週間で学祭が始まる。
そこでバレー部が主催の
「キュンキュン告白大会」に出る事にした。

でもその前に、愛生に伝えたかった。
"今もまだ、愛生が好きだ____"と。

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yuma side end...
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(悠真は私に何しようとしてんやろ)

私は空き教室を出た。
すると、北くんが歩いてきた。
北 信介
北 信介
西山さん?
西山 愛生
西山 愛生
北くん!
彼はペンキを持っていた。
彼と一緒に教室に戻る事にした。
北 信介
北 信介
あんなとこで何してたん?
西山 愛生
西山 愛生
いや…悠真に呼び出されてんけど…
北 信介
北 信介
え?
西山 愛生
西山 愛生
いや、何もしてないからな?!
ただ、呼び出されて、なんか言われたけど
頭冷やしてくるって言うて出てってん
北 信介
北 信介
そやったんか…
西山 愛生
西山 愛生
うん
私は苦笑して彼の横顔を見た
少し険しい顔をしていた
西山 愛生
西山 愛生
…き、た…くん…?
北 信介
北 信介
……ん?
西山 愛生
西山 愛生
ごめん、怒らしたかなって…
北 信介
北 信介
え?いや全然怒ってないで
そう言って彼は笑顔を見せた。
でもすぐに真顔に戻っていた。

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学祭で各部活も何か出し物をしてくれと生徒会に頼まれて、バレー部はバスケ部と合同で「キュンキュン告白大会」をする事になった。
2週間前から募集をかけ、昼の一番みんなが集まる時間に中庭で行うことになった。

稲荷崎では1日目は校内で
2日目は一般公開で校外の人たちも来てもらえる。

2日目にステージ企画をたくさんする事になっている。

それに、2日目が終わった後夜祭。
花火が打ち上がるのだ。
実は後夜祭にはジンクスがある。

"後夜祭の花火を見た男女は結ばれる、そして、幸せになれる"というジンクスだ。

私は、北くんを誘おうと思っていた。
せっかくだから、一緒に見たいなと思って__ 。

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それから2日後。
私は急に体調を崩して保健室で寝ていた。

兄も心配し、保健室に来てくれたが
私はただの風邪だと言って
兄には教室に戻ってもらった。

(もしかしたら…もしかしたら……)

私の脳裏には「再発」という言葉しか
出てこなかった。
不安になった。
また再発してまた入院生活で
せっかく春高予選はみんなと一緒に
体育館のアリーナにいれると思ってたのに。
また北くんとたくさん話せると思ってたのに。

私は悲しくなって涙を流した。
西山 愛生
西山 愛生
なんっで……今なん…っ!!
私はずっと泣いていた。
悲しくて、辛くて
もしこのまま消えれるなら
消えてしまいたかった。
北 信介
北 信介
……西山さん…
北くんの声が聞こえた。
私は気付かないふりをして返事をしなかった。

すると彼は私の背中をさすりながら…
北 信介
北 信介
西山さん。
俺、西山さんの支えになれるやろか…
少し悲しそうな声でそう言った。
北 信介
北 信介
……俺じゃ、だめやろか…
鼻を啜る音が聞こえた
(北くん…泣いてる…?)
北 信介
北 信介
……俺じゃだめやんな…
片岡ならこういうのも
すぐ気付いてあげられるんやろうな
西山 愛生
西山 愛生
……私は…
北 信介
北 信介
…!西山さん!
西山 愛生
西山 愛生
……私は……
北くんがいい……です…
泣きながらそう伝えた。
彼は背中をさするのをやめた。
西山 愛生
西山 愛生
私は……ずっと…
北くんがいいの……っ!
私は起き上がって彼にそう伝えた。

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