第4話

(4)
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2020/10/30 17:19
あの日から時が経ち、1ヶ月後。
推薦入試の当日が来た。

今までたくさん勉強をしてきたから
多分大丈夫だと思う。

今日は北くんも一緒だ。
北 信介
北 信介
あれ、西山さん
西山 愛生
西山 愛生
おはよう…
北くんは私が稲荷崎を受けることを
知らなかったようだ。
北 信介
北 信介
頑張ろうな
彼はそう言って笑った。
久しぶりにちゃんと話せた気がする。

2人で話していると
あの… と、声を掛けられた。
声が聞こえる方を向くと…そこには、
片岡 悠真
片岡 悠真
あ…愛生?
西山 愛生
西山 愛生
ゆ、悠真!
京都の中学校にいたときに付き合っていた
片岡 悠真(かたおか ゆうま)がいた。

彼はその中学の男子バレー部キャプテンで
府選抜にも選ばれるほどバレーが上手だ。

引っ越しをする前に別れたのだ。
喧嘩別れではなく円満な別れ方をしたので
今でも仲が良く、連絡も毎日とっている。
片岡 悠真
片岡 悠真
春馬くん追いかけて稲荷崎受けるんか?
西山 愛生
西山 愛生
まあ、そんな感じ。
片岡 悠真
片岡 悠真
皆上蹴ってまで稲荷崎か
皆上とは、私に推薦が来ていた
京都府の強豪校だ。
西山 愛生
西山 愛生
そうや、皆上をわざわざ蹴って稲荷崎を選んだ
片岡 悠真
片岡 悠真
仕方ないよな…
あんな大怪我したらな…
西山 愛生
西山 愛生
うん…
だから、今度はサポートする側に回ろうと思って
片岡 悠真
片岡 悠真
そっか。
今日は頑張ろうな
彼はそう言って校舎に入っていった。
西山 愛生
西山 愛生
行こっか、北くん
北 信介
北 信介
…皆上蹴ったって、ほんまなん
彼は立ち止まったまま、私に聞いた
西山 愛生
西山 愛生
ほんまやけど…
北 信介
北 信介
勿体ない…あんなに上手いのに…
西山 愛生
西山 愛生
仕方ないねん。諦めざるを得んかった。
私はもう激しい運動あんまり出来ひんねん。
詳しい事情を彼に話すことは
まだ出来ないが、理解はしてくれた。

切り替えて頑張ろうと言って
私と彼は校舎に入る。
__________________

無事に試験が終わり帰ろうとした。
すると…
片岡 悠真
片岡 悠真
愛生
西山 愛生
西山 愛生
あ、悠真お疲れ
片岡 悠真
片岡 悠真
お疲れ
悠真が来たのだ
西山 愛生
西山 愛生
どしたん?
片岡 悠真
片岡 悠真
久しぶりやしちょっと話したくなって
西山 愛生
西山 愛生
あ、そっか…
ほな北くんも……ってあれ
北くんが居なかった。
忘れ物をしたのかなと思い少し待とうと思っていたら、連絡が来た。

" 東野さんのところ、行くから先帰るね。
西山さん、今日はお疲れ様 "

(え…麻弥のところって…)

胸がザワザワする。
(なんか…嫌や…)
片岡 悠真
片岡 悠真
北くん…?やっけ
どないしたん?
西山 愛生
西山 愛生
…ぇ、あぁ…
友達に呼ばれたみたいで先帰るって
片岡 悠真
片岡 悠真
そっか、じゃあ俺らも帰るか?
西山 愛生
西山 愛生
せやな
私は悠真と駅に向かった。
彼は今から京都に帰る。

私は迎えを呼んでいるので駅で
別れることにした。
__________________

駅に着くと、中高生の帰宅時間と被っていて人が多かった。
片岡 悠真
片岡 悠真
人多いなあ
西山 愛生
西山 愛生
そうやなあ
ママもう来てるかな
片岡 悠真
片岡 悠真
そっか、迎え来てもろてるんやんな
西山 愛生
西山 愛生
そうそう
悠真と話していると聞き覚えのある声で名前を呼ばれた
西山 春馬
西山 春馬
愛生〜
西山 愛生
西山 愛生
お兄ちゃん
片岡 悠真
片岡 悠真
は、春馬くん!お久しぶりです!
西山 春馬
西山 春馬
おう!悠真!元気にしとった?
片岡 悠真
片岡 悠真
はい!!
西山 愛生
西山 愛生
なんでお兄ちゃんおるん
西山 春馬
西山 春馬
おかんが今から京都行く言うてたから
ついてきた
(ついてくんなよ…)

私が車に乗ろうとしたら
ママに悠真も乗せてと言われた
西山 愛生
西山 愛生
悠真、私ら京都行くから
ママが送ってくって
片岡 悠真
片岡 悠真
え!いいん?
西山 愛生
西山 愛生
ママがええて言うてるから
早よ乗り!
彼はありがとうと言って車に乗った。
私も乗ろうとした、その時
嫌な光景を見てしまった。

前から歩いてくる制服を着た中学生。
2人で笑いながら歩いていた。

(麻弥…と、北くんや…)

2人を見ていると麻弥と目が合った。
私は北くんにバレないように車に乗り込んだ。
東野 麻弥
東野 麻弥
あ…!愛生…?
北 信介
北 信介
え?西山さん?
東野 麻弥
東野 麻弥
あ、いや…
愛生の姿が見えただけ…
(やばい、バレてもたかな…)
北くんにだけはバレたくなかった。
悠真と一緒にいることとか。
麻弥にもバレたくなかった。
(上手くいったんやろか…。
あんなんもう付き合ってるよな、絶対…)

麻弥が幸せなからそれでいいと思っていた。
でも私は、やっぱり北くんが好きだ。

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