インターハイ予選。
先輩たちの活躍で無事に最終日まで進んだ。
準決勝は接戦だったが2-1で勝った。
兵庫イチになるために。
インターハイ出場ということを西山さんに知らせるために。
チーム一丸となって頑張った。
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決勝が始まった。
2セット目の中盤で監督に呼ばれた。
「ピンサで出す。体あっためとき」と言われた。
高校初試合がインハイ予選の決勝。
でも、俺は緊張しない。
練習のときと同じようにサーブを打つだけ。
笛が鳴り、選手交代をしてコートに入る。
みんなから「ナイサーッ」と声をかけてもらった。
その言葉だけかとてもありがたかった。
いつも以上の力を出さなくてもいい。
ただ、いつも通りのことを。
いつか出来ることをいつも通りに。
そう言い聞かせ、サーブを打つ。
ディグだっていつも通りに。
なにも、緊張することはない。
これが俺の"いつも通り"やねん。
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試合は2-0で勝ち
インターハイ出場が決まった。
表彰式も終わり
監督の話を聞くために外に集合した。
監督が話の終わりに「後ろ見てみ」と言うので
後ろを見ると…
そこには、西山さんがいたのだ。
とても元気そうな顔で
話している彼女を見て
俺は涙が止まらなくなった。
(元気そうでよかった…)
すると彼女から、あるものを渡された。
お守りだった。
入院中に全員分作ったらしい。
綺麗に仕上がっていた。
これをつけて
インターハイに行くと全員で約束した。
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少しだけ彼女と話せる時間があったので、
彼女と話すことになった。
まさか応援に来ているなんて思っていなかったからとても驚いていたけど、彼女はいつも通りだった。
(制服…着てきてんやな…)
俺は気の利いたことは言えない。
でも彼女は違った。
俺の名字を呼ぶ声さえ愛しかった。
そう言う彼女の笑顔はとても可愛かった。
「かっこいい」と言われることは
今までなかった。
ばぁちゃんくらいやで。ほんま。
でも西山さん。
その言葉、これからも俺だけに言ってほしい。
片岡とかアランとか
カッコいいヤツはようけおる。
それでも、俺をいっぱい褒めてほしい。
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会えない分
好きだという気持ちは増す一方で。
"今、何してるんやろ"とか
"今日もちゃんとご飯食べたかな"とか
西山さんのことを思うようになってん。
知らんやろ、西山さん。
俺がどんだけ"愛生"が好きか。__________
片岡と付き合っていると分かった時、
俺がどんだけ嫉妬深いんかよく分かった。
誰にも取られたくないと思ってしまった。
それくらい、西山さんが好きやで。
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元気になって戻ってきた時。
絶対伝えるから。
戻ってくるん、待ってるから。_______
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kita shinsuke side... end
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。