小さなふたりの、約束は。
心の中に、しっかり閉まっておく。
大事に、大事に。
捨ててしまおう。
*
「なんだねこれは!いい加減にしろ!!!」
上司から吐き出される暴言の数々。
あーあ。
せっかく作った資料がぐちゃぐちゃ。
頼んだのは、そっちでしょう。
言いがかりもよしてくれ。
「早く変えてくるんだ!!!分かったか!」
資料を乱暴にとり、その場を去る。
頭をかいて、
『...ふざけないで欲しいな』
聞こえてないぐらいの声で呟いた。
*
久々の徹夜に目も唸りを上げている。
目を必死に擦り、ブルーライトを直に受ける。
視力が落ちるだろうと、予想した。
あたりには誰もいなくて、ただ1人。
静かなオフィスに時計の秒針がただひたすらに音を刻む。
私は、それが嫌い。
元々それが嫌いってのもあるけれど、あの音を聞くと急かされてる感じがして、嫌になる。
秒針の音が右耳から左耳へと出ている。
『...早く終わらそっ。』
ほっぺを叩いて、再びパソコンに目を向けた。
*
結局、昨日は家には帰れずろくに食べ物も飲み物も取っていなかった。
腹の虫が鳴りつつ、ようやく終わった資料を見せれば満足したようだ。
そして、
「やれば出来るじゃないか。」
なんて、上から目線。
私は、そんな言葉を無視して、ほかの資料を進める。
遠くで上司がニヤニヤしていて、気味が悪い。
早く死んでしまえ。
そう思いながら、ひたすらにキーボードを打ち続けた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。