「──…月が綺麗ですね。」
バッッ…と。
勢い良く隣を見ると、少し耳が紅くなった不死川さんが居た。
更に顔が紅くなる。
…多分、意味分かってる……よ、ね。
じっ、と。
こちらを見つめる不死川さん。
私は慌てて顔を逸らす。
…そして、視線を月の方へと向けて。
︎︎
︎︎
そう言って。
一瞬、時が止まったかのように…辺りが静けさに包まれて。
……次の瞬間。
不死川さんが、思いっ切り抱きしめてきた。
でも、苦しくはない。
……あぁ。
私の、大好きな匂いだ。
私が、そう呼ぶと。
実弥さんが、私から離れたかと思えば。
実弥さんの手が……伸びてきて。
そのまま。
…唇に、柔らかい感触。
…そして、直ぐに離れる。
黒い笑みを浮かべて見せる実弥さん。
……嫌な予感。
ヒョイッ
…そうして、そのまま。
私は、寝床へと連れて行かれたのだった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。