突き刺さる刃。
無理矢理、刃の部分を掴み止める。
……幸い、傷は浅かった。
心臓に刺さるのは避けられたものの、刃を掴んだ両手からは大量に血が溢れ出て。
涙を流しながら泣き叫ぶあなた。
胸の奥が締め付けられるような感覚に襲われる。
「嫌、実弥さんッッ……!!」
……なんだそりゃァ。
日本語おかしいだろうが。
殺してぇなら…そんな事、言わねぇだろ。
まだ日輪刀を突き刺そうとしているから、あなたの腕を掴んで日輪刀を奪い取り、遠くへと投げる。
今度は殴ろうとしてくるあなた。
本当……狂ってやがんな。
……ここには、柱共は居るし御館様も居る。
から、あんまり気は進まないが。
もう、これしか思い付かねぇんだよ。
本当にお前が……俺の事を好きでいてくれているのなら。
グイッ、とあなたの片腕を片手で思いっ切り引っ張って、もう片方の手はあなたの後頭部に回し、顔を此方に引き寄せる。
チュッ
顔を赤くしたかと思えば、今度は顔を真っ青にして俺の上に倒れ込んだあなた。
あなたの容態を心配したが、俺も……血を流し過ぎたようで。
──……そのまま、意識を失った。
next
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。