第13話

私のせいで
6,177
2020/04/07 10:36
盈仙えいせんあなた
不死川さんっ!!!
何度呼びかけても、返事がない。

けど、心臓は動いてる。



……命に別状は無さそうだ。
とりあえず、不死川さんの部屋まで運んで寝かせよう。
****
盈仙えいせんあなた
……不死川さん…
……見た所、外傷はない。

内部からやられた…。



しのぶは、不死川さんの屋敷の方から歩いて来ていたから……きっと、しのぶがやったのだろう。


……そして多分、毒だ。

居間に、飲みかけのお茶がばら撒かれてあった。


……それで、不死川さんは………。
盈仙えいせんあなた
…私の……せいだ……。
盈仙えいせんあなた
私が、不死川さんという味方を作ってしまったから…だから、彼奴あいつらは……
盈仙えいせんあなた
……出て、行かなきゃ
盈仙えいせんあなた
不死川さんが、元気になったら





︎︎
盈仙えいせんあなた
……この屋敷から出て行こう
そう言って、私が部屋から出ようとした時。
ガシィッ
盈仙えいせんあなた
!?
不死川実弥
不死川実弥
……何処行くつもりだァ…テメェ……
盈仙えいせんあなた
不死川さんっ!?
気絶していた不死川さんが、目を覚ました。
その事実を理解すると、私はすぐさま傍に駆け寄って。
盈仙えいせんあなた
大丈夫ですか!? 何があったんですか!! 心配したんですよ…!!
不死川実弥
不死川実弥
……俺の心配はいい。…なァ、盈仙。屋敷出てくたァ、どういうことだァ……?
盈仙えいせんあなた
………
盈仙えいせんあなた
…私の、せいですから
不死川実弥
不死川実弥
…あァ?
盈仙えいせんあなた
不死川さんが毒を盛られたのは……私の、せいです。私が、不死川さんと関わったから…こんな、ことに
不死川実弥
不死川実弥
…違ぇ
盈仙えいせんあなた
…え?
私の言葉を遮るように、不死川さんは否定する。
何が、違うというんだ。

こうなったのは、全部全部…私のせいで……
不死川実弥
不死川実弥
俺がこうなってんのは……俺のせいだ。テメェのせいなんかじゃねぇ。
不死川実弥
不死川実弥
……俺が、勝手に決めたことだァ。お前と関わったのも俺からだし、テメェを守るっつったのも俺だ。
不死川実弥
不死川実弥
…だから、屋敷から出て行くだなんて…言うな
盈仙えいせんあなた
………
酷く辛そうな声だ。

顔を伏せていたが…どんな顔をしているのか予想するのは、容易な事だった。
……初めて見た、不死川さんの弱々しい姿に。
…思わず、私は。
盈仙えいせんあなた
……私は、屋敷から出て行きません。だから…そんな顔、しないで下さい…
不死川実弥
不死川実弥
……そう、かァ…
そんなことを、言ってしまったのだった。


















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