何度呼びかけても、返事がない。
けど、心臓は動いてる。
……命に別状は無さそうだ。
とりあえず、不死川さんの部屋まで運んで寝かせよう。
****
……見た所、外傷はない。
内部からやられた…。
しのぶは、不死川さんの屋敷の方から歩いて来ていたから……きっと、しのぶがやったのだろう。
……そして多分、毒だ。
居間に、飲みかけのお茶がばら撒かれてあった。
……それで、不死川さんは………。
︎︎
そう言って、私が部屋から出ようとした時。
ガシィッ
気絶していた不死川さんが、目を覚ました。
その事実を理解すると、私はすぐさま傍に駆け寄って。
私の言葉を遮るように、不死川さんは否定する。
何が、違うというんだ。
こうなったのは、全部全部…私のせいで……
酷く辛そうな声だ。
顔を伏せていたが…どんな顔をしているのか予想するのは、容易な事だった。
……初めて見た、不死川さんの弱々しい姿に。
…思わず、私は。
そんなことを、言ってしまったのだった。
next
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。