第30話

居ない
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2020/04/29 02:15
盈仙えいせんあなた
ふぁ~……
盈仙えいせんあなた
……実弥さんが居ない…
昼頃にもう一度目を覚ます。

朝よりは大分、痛みはマシになっていた。
……隣を見やる。実弥さんが居ない。
そこで、ふと……思い出す。

前にも、このような事があった。
朝起きたら、実弥さんが屋敷の何処にも居なくて。
実弥さんの部屋に……置き手紙が……。
盈仙えいせんあなた
さ、実弥さん……ど、こに……
不死川実弥
不死川実弥
おー、あなた。起きたのかァ。…ん? どうしたァ…?
盈仙えいせんあなた
あっ………実弥、さん…
…気配を探れば、屋敷に居るかどうかなんてわかった筈なのに。

……何を思い違いをしていたんだ、私は。
盈仙えいせんあなた
うっぅ……良かった……
不死川実弥
不死川実弥
っ!? お、おい、何泣いてんだァ…!?
瞬き一つの間に、私の目の前まで来た実弥さん。

…は、はや……。
盈仙えいせんあなた
実弥さんが、居たから……ただ、良かった………って……。
不死川実弥
不死川実弥
俺が居たからァ…? ……あ…
不死川実弥
不死川実弥
……そういう事かァ。
全てを理解した、という顔で。

優しく……微笑んだ、彼は。
不死川実弥
不死川実弥
大丈夫。俺はもうどこにも行かねぇよ。
不死川実弥
不死川実弥
…悪かったァ。
盈仙えいせんあなた
っ……!!
……そう言って、私を抱きしめる。
この人は、何回私のことを泣かせれば…気が済むのだろう。
そんなことを考えながら。





私は、また…実弥さんの腕の中で、泣きじゃくった。




















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