朝。起きると、隣で不死……実弥さんが寝息を立てていた。
……昨日、遂に……うん。
服は…ちゃんと、着てる…。
実弥さんが気を利かせて、寝てる間に着付けしてくれたのだろう。
……え、いや、凄。
実弥さん凄っ。
とりあえず起きようと、身体を起こそうとすると。
腰の辺りに痛みが走る。
……あー…。
…などと泣き言を言っていると。
私の頭の上に、ポンッと実弥さんの手が乗って。
腰にズキンッッと。痛みが走る。
すると実弥さんは、慌てて私の顔を覗き込んだ。
私が布団の中へ潜り込むと、実弥さんも隣に入って来る。
……そして。
その言葉に。
私は、泣き崩れて。
実弥さんは…まるで小さい子供をあやすかのように、私の頭をポンポンっと…ずっと、してくれていた。
そして、泣き疲れた私は。
そのまま、いつの間にか…眠ってしまっていた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!