『café』
☆71☆
望さんは、ふたり分のコーヒーを入れて、私の隣に座った。
藤「サンキュゥ!あ、砂糖 取って?」
っ!!!
私は唖然とした。
藤井さんは、いつもやってるであろう手つきで、お砂糖を二杯、コーヒーに入れるとスプーンで混ぜながら、ミルクも入れた。
〇「エッ!あ、あの?藤井さん?」
藤「ん?なぁ〜んや?」
〇「そ、それ…」
藤「それ?」
〇「コーヒー!」
藤「コーヒーがなんや?」
〇「・・・・・ブラックじゃないのぉ〜〜??」
望「ふふっw かわええヤツらww」
カランコロン♪
聖「close でしたけどぉ〜ww」
〇「あっ!聖羅♡」
聖羅と智くんに来てもらったんだぁ〜
藤井さんを紹介する為に!
神「・・・・・」
〇「なに?智くん?」
聖「あ〜ほっといてやって?w」
智くん…
やっぱり反対してるのかな…?
☆72☆
望「聖羅ちゃん、いらっしゃい!智くんも〜」
聖「ぷっ!ww 智くん呼ばわれ!」
神「っ// と、智くんは辞めてもらえますかぁ?」
望「はいはいw 何にする?」
聖「ホットで。神ちゃんも?だよね?」
神「おん…」
そんな 智くんのよそよそしい態度が、私に結構なダメージを与えていた。
いつも、私を支えてくれてるのに…
いつも、私を甘やかしてくれてるのに…
いつも、前を向かせてくれるのに…
智くんの存在は、私の中で大きくて、ホント大切で…
本当の お兄ちゃん以上に、お兄ちゃんなのに…
私…
辛い思いを させちゃってる。
藤「こないだは…どうも。」
私の気持ちが、こんなにも沈んでるなんて気付いてない藤井さんは、智くんに挨拶した。
神「…ども。」
えっ…それだけ??
険悪 過ぎだよぉ〜(泣)
☆73☆
神「……で?」
藤「へっ?…〇〇と、お付き合いしとります…」
神「知っとるわ!」
〇「っ!ちょ、智くん?」
神「お前、ホンマにコイツで ええのん?」
〇「…コイツじゃないもんっ!藤井さんだよ!」
聖「あ〜…また始まったw」
望「え?よくケンカするん?」
聖「兄妹ゲンカだと思ってやってくださいww」
神「〇〇を泣かせるヤツなんて、俺は許さんぞ!」
〇「なんで智くんに許されなきゃならないのよっ!!!」
神「俺に泣きついて来たん誰や!全部、コイツのせいやろッ?」
〇「…違うんだよ…私の早とちりだったの。」
神「はぁ?」
〇「とにかく!私は確信したの!……
〇「……てゆうか//…確信させてくれたの///」
赤く染まる私の頬に気付いた藤井さんが、
藤「〇〇 //……ちゃんと…届いたんや?」
〇「えっ//…あ、うん!…届きました///」
☆74☆
藤「ちゃんと…届いたんや?」
〇「えっ//…あ、うん!…届きました///」
望「なんやねん!ふたりしか分からん会話すなやぁ〜!」
抱きしめられて想う。
想われている。
今はそれが……真実。
聖「しっかし、初めてが着物って…エ口過ぎるでしょぉ〜〜!」
神「っ!エ口いってなんや?!」
望「や、完全にエ口いやろ?」
藤「ふふっw 〇〇ヤバかったでぇ??」
〇「ちょっ!///…もぉッ!辞めてください!!!」
でた!!!
藤井さんの S モード!!!
神「ちゃう!!!〇〇の初めては俺や!!!」
〇「っ!智くん!」
きゅ、急に何言い出すのよ!!!
智くんに捧げた初めてなんて、無いよ!!!
神「ファーストキスは、俺とやん?」
〇「・・・・・え?」
神「お風呂やって!一緒に入ったん俺が初めてやったろ?」
〇「・・・・・え?」
☆75☆
望「ちょい待ち!流星は?〇〇と一緒にお風呂とか…」
藤「……ないわ…」
望「もぉ〜〇〇〜!智くんに初めて捧げ過ぎやろぉ〜?」
???
な〜んか怪しい…
だって、望さんニヤけてるもん!
〇「それってさぁ〜……1歳くらいの話しでしょ?」
神「・・・・・んっ?」
聖「だと思ったww」
望「そんなん、初対面の俺でも引っかからんわ〜ww」
って!!!藤井さんっ!!!
ふはぁ〜〜〜〜ッ……
っと、チカラ無くカウンターに伏せた藤井さん。
〇「ど、どうしたんですか?」
具合でも悪いのかなぁ??
〇「…藤井さん?大丈夫ですか??」
私は心配になり、その背中を そっと さすった。
っ!!!
クタっとしていた藤井さんが、急に勢いよく起き上がり、私を抱きしめた!
藤「…俺の〇〇やもん……」
〇「っ//…藤井さん…///」
望「あ〜流星、重症やわw」
☆76☆
藤井さんって…不思議。
身振りとか…
あ〜……キス//…とか……?
すっごく大人なのに…
私に、イジワルしたりする Sっ気は、まるで小学生並。
まぁ…
大人なイジワルも するけど//…
今はこうして、私を抱きしめユラユラして離れない。
〇「…ふ// 藤井さん?…分かりましたから!…もう、離れてください//…」
みんな見てるのに…//
藤「俺の…」
なんて、つぶやく。
人目もはばからず…//
あ〜〜もぅ!
こんな可愛い ギャップの嵐!!!
私だって、重症だよぉ〜!!!
藤「そうだ!〇〇っ!!!」
〇「は、はいッ!!!」
急に私から離れ、両肩を鷲掴みされる。
めっちゃ笑顔の藤井さんは、
『子供 3.5 : 大人 6.5』 の、ズルイ感じ!
分かるかな?
この、ズルイ感じ!!!
その上…
☆77☆
その上…
藤「 café やらん??」
〇「…えっ……か…ふぇ??」
藤「おん!一緒に!!!」
どうして……?
私の夢……
聖「それっ!めっっっっっっっちゃくちゃイイじゃんっ!」
〇「……っ…………フジイ…サン…っ…」
嬉しくて、溢れる涙…
藤「俺しかもらえん、〇〇の初めて!」
〇「…ハジメテ……?」
藤「おん!〇〇の夢。俺が叶える!」
〇「……café…」
そう。
café
を開く事は、私の夢だった。
いつも側で見ていた、母が切り盛りする食堂を。
だから…
藤「…ダメ……かな…?」
そんなの…
もぉ〜嬉しくて、涙もあって、声にならない…
私は、ブンブンと首を振り、藤井さんに抱きついた!
藤「ふふっw かわええ♡」
☆78☆
藤井さん…
私、道を間違えなくて良かった。
もっともっと勉強して、
必ずステキな、
ふたりの『café』に出来るように頑張る!!!
〇「ありがとね♡」
藤「ふはぁっw 可愛く言うなよ♡」
望「バカップル!」
神「しゃ〜ないなぁ〜ww」
聖「おっ!諦めたん??」
神「俺には聖羅がおるしぃ〜」
聖「やっと気付いたぁん?ww」
望「はぁぁぁ〜っ…………ふふっw 」
______________
望「ええ café になってきたなぁ?」
藤「おん!〇〇が居るからな!」
望「営業時間に close にならんからや!」
〇「ただいまぁ〜」
藤「おかえりぃ〜♡ ほな、望 帰ってええで?」
望「来たばっかや!そうやって、close にするつもりやろ?」
藤「…バレたぁぁ〜〜?」
☆79☆
〇「ふふっw 藤井さんはホール!望さんは私と厨房です!」
藤「えぇぇぇ〜〜嫌やぁ〜!」
望「アホか…」
藤「頑張ったら ご褒美くれる?」
〇「ふふっw いいですよw」
相変わらずのギャップ萌え♡
からのぉ〜
藤「今夜は寝かせへんからな?」
そっと近付き、耳もとで囁くその声に、
ゾクッ!!!
藤「赤なっとるぅ〜」
もぉ!!!
私だって、もう子供じゃないんだからっ!!!
〇「楽しみにしてるね♡………リュウセイ♡」
藤「っ!!!りゅ、りゅ、りゅ、りゅう…せいって……言った…」
ちょっぴり腰を抜かした感の藤井さん…
これまたギャップかよ♡
望「早よっ!!!」
〇「は〜いww」
こんな楽しい場所。
迷いながらも辿り着いた居場所。
私の『café』
☆fin.☆
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。