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第1話

『 café 』0 〜
423
2019/05/22 21:41
『café』

☆0☆


「大人になりたい」

って、思ったことありませんか?


私は幼い頃から、ずっと思ってました。


小学4年の時、担任の先生を好きになって、「私がもっと大人だったらなぁ〜」って、悔しい思いをしたから。



その頃から…

私は早く早く、大人になりたくて…



そんな私が、
大人なカフェの店員さんに…



恋をしたお話です♡













☆1☆





目の前に出されたコーヒー。


すごくイイ香りで、美味しそう。


なのに…






〇「ンッ!ニガァッッッッッ!!!」






藤「ぷっ!っぁはははぁっ!!!やっぱ お子ちゃまやん!ww」




言ったな?



「お子ちゃま」だと?




〇「子供じゃありませんっ!」

流「怒ったぁ〜 益々こどもぉ〜ww」




からかわれて膨れてる私を見て、ニヤつく藤井さんは、イジワルだ!




でも…




惚れた弱みだ。




〇「…また、出直して来ます。」




ションボリした私の後ろ姿に、




藤「ありがとう ございましたぁ〜!」




と、陽気に店員モードの挨拶をした。



私、そんなに子供っぽいかなぁ?


☆2☆



〇「ねぇ?私って、そんな子供?」
聖「ふっw 子供だね。そうやって聞いてくる辺りね。そんなって、どんなよ?w」



子供なんだ…



どうしてだろう?
聖羅だって、タメには変わらないのに…



何で私だけ子供なのよっ!!!




〇「私ん家の側にね、オシャレなカフェがあって、ステキな店員さんがいるんだけど……その人、私を子供扱いして、全然 相手にしてくんないの!」
聖「どんな人?」
〇「っものすんごっくっ!いけめんっ!!!」
聖「で?」
〇「背が高い!!!」
聖「で?」
〇「声がいい!!!
聖「で?」
〇「…で?って……えっと…」
聖「好きなの?」
〇「ッ!!!///」


『好き』と言葉にしてしまうと、ドキッ!とした!


☆3☆

〇「…//……す…好きぃです///…」
聖「ははっw 告ってるんじゃ無いんだからぁ〜そんな照れて、可愛いなぁ〜!」


聖羅は私のホッペを、両手の平でグリグリ回した。


〇「あー!やめてぇ!チーク取れちゃうよぉ〜!」


こんな感じで、私はいつも聖羅にイジられる。



神「よっ…おはよ…」
聖「おっ!おはよぉ〜!あれ?午後から?」
神「ちゃう。寝坊してもうたんや…」


と、私を睨みつける。


〇「えっ?なに?ワタシぃ??」
神「昨日、起こしに来るって、言うたやん…」
〇「……へっ?」
神「これだも…信じた俺が悪かった。」


呆れてる。

私、そんな約束したっけ??


神「もう俺、単位落としたかも。〇〇のおかげで!」
〇「なんで私よっ?智くんが二度寝常習犯だからイケないんでしょっ?!」
聖「もう、一緒に住んじゃえば?」
神「っ!えっ///」


☆4☆

〇「それは、智くんが嫌がるからさ!そうしてあげたいのは山々なんだけどッ!!!」
智「嫁入り前の女子と、一緒に住めへんやろッ!いくら幼馴染つーてもッ!!!」
〇「だから、何やましい事考えてるのよッ!もう兄妹同然なんだから、イイよって言ってあげてるのにぃーーーッ!!!そしたら、起こしてあげられるのにっ!だから、智くんが悪いんでしょッ!私のせいにしないでよっ!」



こうやって、喧嘩するのなんて日常。


だから…


聖「授業始まる。行くよ〜」


と、親友は何も気にしてくれない。


聖「まぁ、酔ってる〇〇に頼んだのが悪いな。」
神「聖羅まで…分かったよぉ〜ごめんなさい。」


そう、昨日は智くんが組んでるダンスユニットの仲間と飲みに行って…

恐らく、智くんと一緒に帰ってきた。

恐らく。
って事で、記憶にはない。


☆5☆


私が起こしに行くって?
自分で起きろよッ!!!


私は前を歩く智くんの背中に、べーっ!ってした。


聖「子供〜ww」
〇「エェェッ!」


そっか、こういうところか…

お酒にも呑まれてるしな…


やっぱり私…子供なんダァーーーッ!!!




んじゃあさぁ??
どうしたら、大人になれるの??

あっ!翔子先生だぁ〜

私、あの先生好き!

大人だし色気ムンムンだし!
それに…ナイスバディ!!!


あ〜〜憧れるぅ〜〜♡


翔「あ〜神山くん?次の授業で使うから、コレ持って行ってくれない?」
神「あ、ええですよ!」


普通に話してるだけなのに、どうしてこんなにも大人なんだろう?


メイク?ファッション?香水?

考えても分からない…


翔「じゃあ、よろしくね♡」


と、智くんの肩辺りを、綺麗な人差し指でツンっ!とした!


神「っ//…は、はい!//」


☆6☆


聖「だらしなッ!!!」


ちょっとデレっとした智くんを見て、ガラにもなく聖羅が荒だった。


〇「え、どしたの?」
聖「行こっ!」


と、私の手首を勢いよく引っ張った。


聖「私、あの先生嫌い!」
〇「え?なんでぇ?私は憧れだけどなぁ〜」
聖「色気で気を引くような女なんて、どうせロクデナシだよッ!!!」
〇「え?誰の気を引いたの?」
聖「男なんて、アホばっか!!!」


プンスカな聖羅を不思議に思いながら、私達は講義室へ入った。


〇「聖羅ってさ?」
聖「あ"んっ?」
〇「っ!!!」


机に着いてノートを開き授業の準備を終えたから、そろそろ腹の虫も治ったかな?と思ってたけど…


聖「…ごめん。〇〇には、そのうち話すね?」
〇「う、うん。」


私は、親友だと思ってた。

聖羅の事で、知らない事もあるんだ…

そう思うと、セツナかった。

だからって、親友には変わりないけど…


☆7☆


神「置いてくなよぉ〜!」


後から来て、私の隣に座った智くんに、


〇「男なんて、アホばっか!」


と、聖羅に代わって代弁してやったわ!


神「誰がアホやねん!」
〇「ベーーーッ!!!」
神「お前なぁ?昨日 “もう大人だもん!” って言っとったくせに、全然 ダメやんけ?」
〇「っ!!!」


ムゥッ!(怒)


似てない私のモノマネで、今一番痛いところを突くなよ!

私だって大人になりたいよぉ〜〜(泣)


神「どうした最近?変やで?」
〇「へ、変って…」
神「背伸びしたって、しゃーないやろ?〇〇は、〇〇なんやから。」
〇「だって…//」
神「…だってなんや?」


いくら智くんでも「好きな人がいる」なんて言うの、恥ずかしいよ…//


聖「神ちゃんも大概じゃん。」
神「はぁ?俺は…」
聖「子供の〇〇よりタチ悪いし。…オ・ト・ナの男さん?」


イヤミっぽく言う聖羅の言葉が、私には何のことか、サッパリ分からなかった。


☆8☆


智くんを見ると、顔を赤くして黙っていた。


ん??
このふたり…何かあった??


翔「はい、授業始めま〜す!」


授業が始まり、その続きは後回しにされた。





授業中。
私は翔子先生の観察ばかりしていた。


・今日も巻き髮
・唇プルりん♪
・華奢ブレスと華奢ネックレス
・フンワリスリーブからの二の腕は案外ふっくら
・ヒール5〜7cm
・髪をかきあげる…ノラとは違う!
・休みの姿勢→手に腰←なんかセクシー♡



聖「勉強 熱心な事…」



聖羅は あきれてるけど…

私は本気なんだよ。

大学の勉強より、こっちの勉強の方が大切なの!



だって、早く大人にならなきゃ…


相手にもされないうちに、誰かに取られちゃったら?


そんな事になったら、後悔してもしきれないでしょぉ〜〜?!


早く!スタートラインに立たなきゃ!!!


☆9☆


〇「今日、買い物付き合ってっ?いいでしょぉ〜?」
聖「う〜ん?……あ、じゃあ!そのcafé に連れてってよっ?いいでしょぉ〜?」
神「俺パスな。バイトやから。」
聖「神ちゃんには聞いてないし…」
神「なっ!」
〇「まぁ、まぁ、まぁ〜!」


ふたりは睨み合い、プイッ!っとした。


ホント、このふたりどうした??

はぁぁぁ〜〜……

後で、聖羅に聞くか…





〇「ねぇ!コレなんかどう?大人?」
聖「大人?基準は大人か?」
〇「そう!」
聖「うん。大人。でも、〇〇には…」
〇「んじゃあ、コレにするぅ〜ww」
聖「あのぉ〜それは似合わないよ?」
〇「でも、大人になるの!だから、コレにする!」


少しくらい無理しなきゃ!!!

コレ着て、大人の階段、登らせていただきまぁ〜す!!!


聖「間違ってるよ!」
〇「えっ?」


☆10☆


聖「イイ?その服は、〇〇には全く似合わない!絶対に買わないっ!!!」


聖羅の声は店中に響いた。


少しの間……
の後、聖羅も周りから注目を集めていると気付き…


聖「お、お騒がせしましたぁ〜」


と、ふたりで腰を低くして、その店を出た。



聖「ねぇ〇〇?頑張るのはイイ事だと思うよ?でもさぁ〜〇〇が〇〇じゃなくなったら…ダメだよ?」


聖羅は本気だ。
私の両肩を掴んで離さないから。


聖「もし、その…caféの店員さんが、〇〇を好きになったとしても…それは本当の〇〇じゃない。」
〇「……分かってるよぉ〜……それでも、少しでも大人になりたいんだよぉ…子供扱いされて、悔しいんだよ……」



拗ねて言う私は、子供だ。


分かってるよ。
着飾って大人びても、変わらない。

私は私。


聖「んじゃあ、caféに行こうよ?」
〇「…う、うん……」


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