『café』
☆0☆
「大人になりたい」
って、思ったことありませんか?
私は幼い頃から、ずっと思ってました。
小学4年の時、担任の先生を好きになって、「私がもっと大人だったらなぁ〜」って、悔しい思いをしたから。
その頃から…
私は早く早く、大人になりたくて…
そんな私が、
大人なカフェの店員さんに…
恋をしたお話です♡
☆1☆
目の前に出されたコーヒー。
すごくイイ香りで、美味しそう。
なのに…
〇「ンッ!ニガァッッッッッ!!!」
藤「ぷっ!っぁはははぁっ!!!やっぱ お子ちゃまやん!ww」
言ったな?
「お子ちゃま」だと?
〇「子供じゃありませんっ!」
流「怒ったぁ〜 益々こどもぉ〜ww」
からかわれて膨れてる私を見て、ニヤつく藤井さんは、イジワルだ!
でも…
惚れた弱みだ。
〇「…また、出直して来ます。」
ションボリした私の後ろ姿に、
藤「ありがとう ございましたぁ〜!」
と、陽気に店員モードの挨拶をした。
私、そんなに子供っぽいかなぁ?
☆2☆
〇「ねぇ?私って、そんな子供?」
聖「ふっw 子供だね。そうやって聞いてくる辺りね。そんなって、どんなよ?w」
子供なんだ…
どうしてだろう?
聖羅だって、タメには変わらないのに…
何で私だけ子供なのよっ!!!
〇「私ん家の側にね、オシャレなカフェがあって、ステキな店員さんがいるんだけど……その人、私を子供扱いして、全然 相手にしてくんないの!」
聖「どんな人?」
〇「っものすんごっくっ!いけめんっ!!!」
聖「で?」
〇「背が高い!!!」
聖「で?」
〇「声がいい!!!
聖「で?」
〇「…で?って……えっと…」
聖「好きなの?」
〇「ッ!!!///」
『好き』と言葉にしてしまうと、ドキッ!とした!
☆3☆
〇「…//……す…好きぃです///…」
聖「ははっw 告ってるんじゃ無いんだからぁ〜そんな照れて、可愛いなぁ〜!」
聖羅は私のホッペを、両手の平でグリグリ回した。
〇「あー!やめてぇ!チーク取れちゃうよぉ〜!」
こんな感じで、私はいつも聖羅にイジられる。
神「よっ…おはよ…」
聖「おっ!おはよぉ〜!あれ?午後から?」
神「ちゃう。寝坊してもうたんや…」
と、私を睨みつける。
〇「えっ?なに?ワタシぃ??」
神「昨日、起こしに来るって、言うたやん…」
〇「……へっ?」
神「これだも…信じた俺が悪かった。」
呆れてる。
私、そんな約束したっけ??
神「もう俺、単位落としたかも。〇〇のおかげで!」
〇「なんで私よっ?智くんが二度寝常習犯だからイケないんでしょっ?!」
聖「もう、一緒に住んじゃえば?」
神「っ!えっ///」
☆4☆
〇「それは、智くんが嫌がるからさ!そうしてあげたいのは山々なんだけどッ!!!」
智「嫁入り前の女子と、一緒に住めへんやろッ!いくら幼馴染つーてもッ!!!」
〇「だから、何やましい事考えてるのよッ!もう兄妹同然なんだから、イイよって言ってあげてるのにぃーーーッ!!!そしたら、起こしてあげられるのにっ!だから、智くんが悪いんでしょッ!私のせいにしないでよっ!」
こうやって、喧嘩するのなんて日常。
だから…
聖「授業始まる。行くよ〜」
と、親友は何も気にしてくれない。
聖「まぁ、酔ってる〇〇に頼んだのが悪いな。」
神「聖羅まで…分かったよぉ〜ごめんなさい。」
そう、昨日は智くんが組んでるダンスユニットの仲間と飲みに行って…
恐らく、智くんと一緒に帰ってきた。
恐らく。
って事で、記憶にはない。
☆5☆
私が起こしに行くって?
自分で起きろよッ!!!
私は前を歩く智くんの背中に、べーっ!ってした。
聖「子供〜ww」
〇「エェェッ!」
そっか、こういうところか…
お酒にも呑まれてるしな…
やっぱり私…子供なんダァーーーッ!!!
んじゃあさぁ??
どうしたら、大人になれるの??
あっ!翔子先生だぁ〜
私、あの先生好き!
大人だし色気ムンムンだし!
それに…ナイスバディ!!!
あ〜〜憧れるぅ〜〜♡
翔「あ〜神山くん?次の授業で使うから、コレ持って行ってくれない?」
神「あ、ええですよ!」
普通に話してるだけなのに、どうしてこんなにも大人なんだろう?
メイク?ファッション?香水?
考えても分からない…
翔「じゃあ、よろしくね♡」
と、智くんの肩辺りを、綺麗な人差し指でツンっ!とした!
神「っ//…は、はい!//」
☆6☆
聖「だらしなッ!!!」
ちょっとデレっとした智くんを見て、ガラにもなく聖羅が荒だった。
〇「え、どしたの?」
聖「行こっ!」
と、私の手首を勢いよく引っ張った。
聖「私、あの先生嫌い!」
〇「え?なんでぇ?私は憧れだけどなぁ〜」
聖「色気で気を引くような女なんて、どうせロクデナシだよッ!!!」
〇「え?誰の気を引いたの?」
聖「男なんて、アホばっか!!!」
プンスカな聖羅を不思議に思いながら、私達は講義室へ入った。
〇「聖羅ってさ?」
聖「あ"んっ?」
〇「っ!!!」
机に着いてノートを開き授業の準備を終えたから、そろそろ腹の虫も治ったかな?と思ってたけど…
聖「…ごめん。〇〇には、そのうち話すね?」
〇「う、うん。」
私は、親友だと思ってた。
聖羅の事で、知らない事もあるんだ…
そう思うと、セツナかった。
だからって、親友には変わりないけど…
☆7☆
神「置いてくなよぉ〜!」
後から来て、私の隣に座った智くんに、
〇「男なんて、アホばっか!」
と、聖羅に代わって代弁してやったわ!
神「誰がアホやねん!」
〇「ベーーーッ!!!」
神「お前なぁ?昨日 “もう大人だもん!” って言っとったくせに、全然 ダメやんけ?」
〇「っ!!!」
ムゥッ!(怒)
似てない私のモノマネで、今一番痛いところを突くなよ!
私だって大人になりたいよぉ〜〜(泣)
神「どうした最近?変やで?」
〇「へ、変って…」
神「背伸びしたって、しゃーないやろ?〇〇は、〇〇なんやから。」
〇「だって…//」
神「…だってなんや?」
いくら智くんでも「好きな人がいる」なんて言うの、恥ずかしいよ…//
聖「神ちゃんも大概じゃん。」
神「はぁ?俺は…」
聖「子供の〇〇よりタチ悪いし。…オ・ト・ナの男さん?」
イヤミっぽく言う聖羅の言葉が、私には何のことか、サッパリ分からなかった。
☆8☆
智くんを見ると、顔を赤くして黙っていた。
ん??
このふたり…何かあった??
翔「はい、授業始めま〜す!」
授業が始まり、その続きは後回しにされた。
授業中。
私は翔子先生の観察ばかりしていた。
・今日も巻き髮
・唇プルりん♪
・華奢ブレスと華奢ネックレス
・フンワリスリーブからの二の腕は案外ふっくら
・ヒール5〜7cm
・髪をかきあげる…ノラとは違う!
・休みの姿勢→手に腰←なんかセクシー♡
聖「勉強 熱心な事…」
聖羅は あきれてるけど…
私は本気なんだよ。
大学の勉強より、こっちの勉強の方が大切なの!
だって、早く大人にならなきゃ…
相手にもされないうちに、誰かに取られちゃったら?
そんな事になったら、後悔してもしきれないでしょぉ〜〜?!
早く!スタートラインに立たなきゃ!!!
☆9☆
〇「今日、買い物付き合ってっ?いいでしょぉ〜?」
聖「う〜ん?……あ、じゃあ!そのcafé に連れてってよっ?いいでしょぉ〜?」
神「俺パスな。バイトやから。」
聖「神ちゃんには聞いてないし…」
神「なっ!」
〇「まぁ、まぁ、まぁ〜!」
ふたりは睨み合い、プイッ!っとした。
ホント、このふたりどうした??
はぁぁぁ〜〜……
後で、聖羅に聞くか…
〇「ねぇ!コレなんかどう?大人?」
聖「大人?基準は大人か?」
〇「そう!」
聖「うん。大人。でも、〇〇には…」
〇「んじゃあ、コレにするぅ〜ww」
聖「あのぉ〜それは似合わないよ?」
〇「でも、大人になるの!だから、コレにする!」
少しくらい無理しなきゃ!!!
コレ着て、大人の階段、登らせていただきまぁ〜す!!!
聖「間違ってるよ!」
〇「えっ?」
☆10☆
聖「イイ?その服は、〇〇には全く似合わない!絶対に買わないっ!!!」
聖羅の声は店中に響いた。
少しの間……
の後、聖羅も周りから注目を集めていると気付き…
聖「お、お騒がせしましたぁ〜」
と、ふたりで腰を低くして、その店を出た。
聖「ねぇ〇〇?頑張るのはイイ事だと思うよ?でもさぁ〜〇〇が〇〇じゃなくなったら…ダメだよ?」
聖羅は本気だ。
私の両肩を掴んで離さないから。
聖「もし、その…caféの店員さんが、〇〇を好きになったとしても…それは本当の〇〇じゃない。」
〇「……分かってるよぉ〜……それでも、少しでも大人になりたいんだよぉ…子供扱いされて、悔しいんだよ……」
拗ねて言う私は、子供だ。
分かってるよ。
着飾って大人びても、変わらない。
私は私。
聖「んじゃあ、caféに行こうよ?」
〇「…う、うん……」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。