第7話

『 café 』61 〜
309
2019/05/26 20:31
『café』

☆61☆


その行動に戸惑いながらも…


嬉しかった。


私になんて、触れてもくれないだろうと、思ってたから。



濡れてる帯締めを解くのは、難しく…
手間取る。


私は、溢れる涙を気にもせず、藤井さんの手を退けた。



藤「…イヤ??」


泣いてる私の顔を見て、不安そうな目をする。


〇「ううん//そうじゃなくて…私が外しますから//…」



立ち上がり、後ろを向いて、帯締めを外し…

帯揚げを外し…

枕を外し…

お太鼓を崩すと…



ストンッ!と、床に落ちていった帯。



伊達締めを外すと…



っ!!!


後ろから抱きしめられ、


藤「やらせて…」


と、耳もとで囁くと、腰紐を解き始めた。


その声に、ゾクッ!っとした私の反応を、楽しんでるかの様に…


ゆっくりと腰紐を引いて…


私を回した。



ハラリ…と前の重なりがはだける…



☆62☆


再び唇を奪いながら…


着物を落とし、濡れて透けている襦袢越しに、私を抱きしめた。



藤「はぁ…〇〇 やばい…//…」



〇「え…どうした……の?」



そう、不安げに聞く私に、思いもしない言葉が……







藤「……めっちゃ、色っぽいで?…//」




えっ!!!


私が……??



信じられなくて、動きが止まる。



藤「〇〇?……大丈夫?」



私は藤井さんの背中に、初めて腕を廻した。



藤「〇〇?…嫌なら言うてな?……俺なら大丈夫やから」





優しく包まれながら…



私は、その暖かさに…



夢じゃないんだと、気付かされた。






〇「…あの//…藤井さん?」
藤「ん??」
〇「す、好きです//」
藤「ふはぁっ//…俺も……好きやで//」


照れてる顔が見たくて…

ゆっくりと、顔を上げると…


☆63☆


愛おしそうに見つめられ…

その澄んだ瞳に映る私。



〇「…あの…でも私…//…分からないんです//…」
藤「??何が分からんのや?」
〇「や// あ、あの……」


どうしよう!
言い出すのが恥ずかしい!


このままじゃ、拒んでるって思われちゃうかな……?


藤「不安があるんやったら言うて?…俺もう、〇〇の彼氏なんやから。」


っ!!!
か、彼氏…か!

そうだよね!
思ってるなら、隠さない方がイイよね?



〇「わ、私…初めてだから…//…キスから先が…どうしていいのか……///」



そんな私を見て、藤井さんはホッとしたように微笑んで、そっと抱きしめた。



それはとても…



優しく…



強く…



ただそれだけで、心が暖かく安心した。





藤「…大丈夫…身体が、教えてくれるから…」

〇「で、でも…//」

藤「シィっ!」


☆64☆


藤「シィっ!」


藤井さんは、人差し指で私の口の動きを封じると…


ゆっくりと その輪郭をなぞる…



ゾクッ!!!



その指先に誘われるがまま、

私の身体は捕らわれてしまった。



塞がれた唇は、さっきとはまるで別のキスで濡れていき…




っ//………んはぁっ///……





藤「俺が全部……教えてやるから……」





合間に降りそそぐ、挑発的な言葉と、漏れる息づかいに、






その夜だけで…









私の中に藤井さんが…











甘く…甘く…













満たされていった。





☆65☆


♪〜着信音〜♪



……ピッ!



神「おい、今どこや?」
藤「ぅ〜ん……ホテル?」
神「っ!!!お前 誰や!!!」



着信音と話し声で、眠りから解放されつつあった私は…


電話の向こうから怒鳴る、聞き慣れた声に反応した!



っ!!!智くん じゃんっ!!!



〇「えッ、チョット藤井さん!」
藤「…んん〜??」



完全に寝ぼけてるし…


ふふっw 可愛い♡



神「〇〇は どこやぁーーーッ!!!」



スマホから漏れてくる智くんの声よりも、藤井さんの寝ぼけ顔が勝り…


ニヤついちゃうなぁ〜ww



藤「あ〜……俺と〇〇は…」




まだほとんど開いてない目で、チラッと私を見ると、




藤「大人な関係やから……そゆこと…」



っ!!!おとなぁ〜〜???



神「っ!おい!お前!!!どういう意味やぁーーーッ!!!」


☆66☆


神「っ!おい!お前!!!どういう意味やぁーーーッ!!!」


電話の向こうの声から、対面では恐ろしいくらいの怒りを感じる。

やばいよぉ〜!!!



〇「ふ、藤井さん!!!」
藤「ん??…ちゃうん??」
〇「っ!//…ち、違うくないですけど//……」



私は「ほい!」と渡されたスマホに恐る恐る耳を当てた。



〇「…も、もしも…し…?」

神「〇〇!大人なって!どういうこっちゃぁーーーッ!!!」

〇「ははぁ〜w 智くんには、まだ分からないかなぁw」


私はワザとケシ掛けた。


神「っ!わ、分かるわぁッ!!!」

〇「…じゃぁ…喜んでくれるよね?」

神「…はぁ?」

〇「あ〜//…彼氏が…出来ました///」

神「え……あ〜……ぅん〜〜?…そっか…そっか…」


怒りが治ったのか、私の言葉を理解するのに時間が掛かってるのか…

智くんは、大人しくなった。


☆67☆


神「聖羅に代わるわ…」


明らかに、さっきまでの元気は無い。


聖「無事で良かった!…神ちゃんは無事じゃないかも知れんけどw」

〇「智くん…喜んでくれないのかな…?」


智くん…
藤井さんに「もうコイツに構わないでください」って、言ってたもんな…



智くんに反対されたら…私…


辛いよぉ〜〜(泣)



聖「ふふっw 大丈夫!娘を嫁に出す心境なんでしょ?」

〇「…う、うん。聖羅ごめんね?」

聖「聖羅様に任せなさい!」

〇「ありがとう聖羅♡」

聖「早めに彼氏に会わせなさいよぉ〜ww」

〇「ふふっw うん//」



「彼氏」という言葉が、なんだか くすぐったかった。



〇「ひゃっ!!!」


電話を切るのとほぼ同時に、藤井さんの指先は、私のラインをイタズラに なぞった。


藤「遅い〜」

〇「っ!ご、ごめんなさい!//」

藤「ふふっw そない本気で謝らんといてやぁ〜w」


☆68☆


〇「え…あの…ごめんなさい…分からなくて…」



どうしてだろう…

藤井さんは、私の彼氏なのに…



そこには まだ、壁がある様に感じた。




藤「〇〇…ごめんな……」

〇「や、藤井さんは何も悪くないです!…ただまだ……実感が無いと言うか…」



藤「この状況でもか?」



藤井さんは、バサッ!っと掛け布団をはいだ!



昨夜は 暗かったし、もう夢中で、ほとんどの事を覚えてないからか…



私は、朝日で露わになった全裸の藤井さんを目の前に、意識が遠のく一歩手前だった!



藤「俺の全てが、〇〇のものだよ?」



そう言いながら、掌がフンワリと頬に触れると、それとは似つかない勢いで、襲い掛かる唇。


一瞬で、今にも砕けそうな身体へと昇っていく。



〇「…ッ//……ふじぃ…さん//……」







藤「もっと教えてやる……〇〇の心に届くまでな……」



☆69☆

それは…


私が今まで 覗いたコトすらない世界だった。





ッ……ぁッ//………はぁっ//……






藤井さんに触れられるほど…







色づく息が漏れるほど…








愛されている感覚を…









心までもが…覚えていく…

















藤「〇〇?」
〇「はい?」
藤「もう…俺から離れんといてな?」
〇「…は、はい//」



そんな事 言われなくても、今の私には当たり前なのに…

藤井さんは、至ってマジメに言う。



藤「〇〇も辛かったやろうけど…俺も…〇〇が遠のいてくの…めっちゃ辛かってんで?」
〇「…ごめんなさい。私…まさか藤井さんがそんな風に想っていてくれてるなんて…」


藤「俺が悪いんやけどな?…〇〇が可愛くて、ついからかって しもうてww」


〇「藤井さんって…Sですねw」
藤「ふふっw 〇〇が、そうさせるんやん!」



☆70☆


キスや身体だけではない。



その、藤井さんから投げかけられる、言葉のひとつひとつが、



「愛してる」であり、



「愛されてる」と心に響いていった。









______________




〇「あのぉ〜〜??//」







望「ん?なぁに?w」






〇「ニヤつき過ぎですよ?」
望「や、まさかだからぁ〜!流星、そんな男らしい奴やったとはなぁ〜ww」
〇「だからって、どうして…」


ブラックコーヒーに挑戦する私を、望さんまでもが、ニヤついて見ている。


藤「せや!望はどっか行き?」


カランコロン♪と、ドアが閉まる音がすると、藤井さんが戻ってきた。


望「また〜? close にしてきたやろ?」
藤「当たり前や!こんな かわええ〇〇を誰かに見られてたまるかっ!!!」
望「はいはい。ほな、おれらも休憩しようや?」
藤「せやな!」



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