- 涙が止まらなくて泣き続けるあたしの背中を
角名くんは優しく摩ってくれた
特に理由は聞いてこなかった
あたしも何でこんなに泣いているのか分からなかった
角名:家まで送るよ
- そう言った角名くんは
治くんとの勉強会を切り上げて家まで送ってくれた
帰り道でも特に聞いてくることはなく
家に着いたら『 また明日ね 』と優しく微笑んでくれた
あなた:おはよー……
美結:おはよー!……ってあなた!?
- あたしの顔を見るなり美結が驚く
それもそうだ
目は真っ赤なままで
まるで泣いた直後かのような顔だから
美結:………平気?
- いつもなら『 どうしたの!? 』と聞いてくるが
恐らく美結は最近あたしの様子が変だと察している
だから必要以上には聞いてこない
多分,あたしから話し出すのを待ってくれている
角名:おはよ
あなた:……!おはよ……!
治:!?あなた!?
- 『 どないしたんその顔! 』と驚く治くん
昨日角名くんはあたしを治くんに会わせずに
勉強を切り上げて送ってくれたので
治くんはあたしが泣いた事を知らなかった
あなた:ちょっとね……( 笑 )
治:平気なん…?
あなた:うん,平気だよ!ありがとう!
- あたしの言葉を聞くと治は安心したように微笑んだ
治:ツムといいあなたといい…よう泣くなぁ
あなた:………え………?
- 侑くんが泣いていた……?
何で………?
何で侑くんが泣くの……?
治くんの言葉に角名くんも美結も驚いていた
ねぇ侑くん
侑くんはあたしの事が嫌いだったんだよね?
ぶすに好かれるのが嫌だったんだよね?
だから意地悪たくさんしたんだよね?
なのに何で侑くんが泣くの………?
なんで
キスなんてしたの______?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。