- 『 帰り送るから待っててや! 』
侑くんにそう言われてあたしは大人しく保健室にいる
ガラッ
- あたしはビクッと肩を震わせる
あの子達が来たんじゃないか____
そう思ったからだ
角名:あなた………
あなた:え………角名くん………?
- あたしの前に現れたのは____
一番会ってはいけない人だった
あなた:やッ……駄目……来ないで……!!!
- 角名くんを見たあたしは
女子達に殴られている光景を思い出す
少しパニックになりながらも
近付いてくる角名くんを止めようと声を出す
角名:………ごめん………
- そう言った彼は優しくあたしを抱き締めた
心臓の鼓動が速い
きっと____走ってきたんだ
あなた:角名くん………やめて………
角名:嫌だ
- 角名くんはそう言って離れようとしなかった
あなた:あたしの事………嫌いになって………ッ
- 言いたくもない言葉だった
角名:それも嫌だ
あなた:え………?
- 角名くんはあたしから少し離れると
あたしの頬に手を添えた
角名:………俺のせいでごめん
あなた:………え………?
角名:………楓花にやられたんでしょ?
あなた:ッ………!
- あたしは驚いた
何で____知っているの?
角名:楓花に全部吐き出させた
あなた:え………?
角名:本当にごめん……ッ
- 自分が罪を冒したかのように謝る角名くん
あたしはそっと____角名くんの手に手を重ねた
あなた:謝らないで………?
角名:え………?
あなた:あたしなら大丈夫だよ
- 微笑みながらそう言うと
角名くんは泣きそうな顔をしてしまった
角名:ッ………もう……関わるなとか言うなよ……
あなた:え………?
角名:あなたと話せないのもLINE出来ないのも全部辛いんだよ……!
あなた:………!
- 角名くんはそう言ってくれた
______嬉しかった
あたしも同じ気持ちだったから
角名:俺の好きな人は楓花じゃない
あなた:え………?
角名:あなたには散々俺の恋邪魔されたよ
- 『 だからもう……邪魔しないで
ちゃんと俺と前みたいに関わって 』
______どういう事………?
角名:あなた
あなた:………?
角名:俺………
何も思ってない子にキスなんてしないよ
あなた:………え………?
- それってどういう事____?
そう聞こうとした時に突然扉が開いた
保健医:あら,人が居たの?
二人:……!
- 保健の先生が出張から帰ってきたみたいだった
角名:……じゃあ,俺部活行くね
あなた:………!う,うん……!
- 『 頑張ってね 』と笑って手を振ると
『 ありがとう 』と笑って手を振られる
前に戻れたみたいで嬉しかった
ただ______
角名くんの気持ちはまだ分からないままだった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!