あなた:そろそろ部活終わったかな……?
- 時計を見てはそう呟く
『 先に行ってていいよ 』って言われたから
あたしは先にケーキ屋さんに来ていた
あなた:……急に誘っちゃったけど……迷惑じゃなかったかな……?
- 何で角名くんに一緒に行こうと言ったのかわからない
角名くんは誰か誘って行きなって言ってた
美結とか他の子を誘って行けばいい話
でも……何となく角名くんと行きたかった
角名:ッあなた!!
あなた:……!
- 突然名前を呼ばれて振り向くと
走ってきてくれたであろう角名くんの姿
角名:ごめん,遅くなった
あなた:全然大丈夫だよ!練習お疲れ様!
- 『 ありがとう 』と笑う角名くんは
やっぱり優しい表情をしている
角名:メニュー決めた?
あなた:ううん!角名くんと一緒に決めようと思って!
角名:何それ( 笑 )あなたの誕生日なんだからあなたの好きなやつ頼みなよ
- 『 券もあるんだしさ 』と笑う角名くん
でもあたしは一緒に来た人と楽しく決めたい
あなた:何にしようかな〜……迷う!!
角名:じゃあ2個選びなよ
あなた:え?
角名:あなたが食べたいの2個選んで。その片方俺が食べるからさ
あなた:え,でもそれじゃ角名くんが……!
- 言い掛けたあたしの唇に
そっと角名くんの人差し指が触れる
角名:今日の主役はあなたでしょ?
- 『 今日くらい我儘になりなよ 』と笑う角名くん
どうして……そんなに優しくしてくれるの…?
店員:お待たせ致しました!
あなた:!美味しそう…!
- テーブルに置かれた可愛らしいお皿
その上に乗るのはあたしが好きなレアチーズケーキ
そして角名くんのは,これもあたしが大好きな
アップルパイ
あなた:美味しそう……!!
角名:食べよっか
あなた:うん!!いただきます!!
- 一口頬張ると口内に広がる甘い味
あなた:……!!美味しい…!!
角名:ほんと?
あなた:うん!今まで食べたレアチーズケーキの中で1番美味しい!!
角名:よかったね。アップルパイも食べなよ
- そう言って差し出されたのは
一口サイズに切られたアップルパイが刺さったフォーク
あなた:え……!?
角名:あなたが食べたくて選んだんでしょ?
あなた:そ,そうだけど……!
- 食べないの?と言わんばかりの顔で見つめる角名くん
あなた:……いただきます!!
- 差し出されたアップルパイを一口で食べる
あなた:……!!おいひぃ……!!
- 口にまだ入っているのに思わず伝えたくなる美味しさ
角名:そ?よかった
- 遠足の時と一緒
自分の事のように嬉しそうな顔をする角名くん
角名くんといるとすごく安心するし
時間が経つのがすごく早く感じる
あなた:美味しかった…!ご馳走様でした!
角名:喜んでもらえてよかったよ
- お店を出るともう外は真っ暗
角名くんが頑なに" 送る "と言うので
お言葉に甘えて送ってもらっている
あなた:また行きたいな〜!今度は苺のケーキ食べたい!
角名:じゃあまた行く?
あなた:へ……?
角名:あなたさえよければ,また一緒に行こうよ
あなた:……!うん……!
- こんな幸せだと感じた誕生日は
初めてかもしれない
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。