美結:あなたがんばれー!
あなた:うんー!
- 体育祭は進み,あたしの出る" お題競争 "になった
パァン!
- ピストルの音と同時にあたしはスタートをした
観客席が一斉に応援をする
あたしは1枚の紙を手に取りそれを開いた
あなた:ッ……え………?
- 目を疑った
誰だよこんなお題書いたの,って思った
だってそこに書いてあったのは……
『 異性に肩車されてゴール 』
あなた:ッ………
美結:……?あなた固まっとる…?
女子:何引いたんやろ?
- あたしは動くことが出来なかった
" 変わりたい "とは言ったけど
こんなこと頼める男子____いる訳ない
リタイアとか出来るのかな……
____そう思っていた時だった
角名:あなた!!!!
- 応援席から角名くんがあたしを呼ぶ声がした
振り返ると応援席から角名くんが手招きをしていた
角名:何だったの?
- 応援席の方に行けば角名くんはそう聞くので
あたしは角名くんに紙を渡した
あなた:り,リタイアとかでき………
- " リタイアとか出来るのかな "と言おうとした時
角名:ほら
- 角名くんが応援席から出てきてあたしの前でしゃがんだ
あなた:え……?
角名:何してるの?乗って
- 『 早くしないと負けるよ? 』と言う角名くん
あなた:で,でもあたし重………
角名:じゃあ他の男に頼むの?
- 『 俺がいいって言ってるんだから早く乗りなよ 』
引きそうにない角名くんの肩に
あたしは渋々身体を乗せた
角名:立つよ
- 一言そう言えば角名くんは立ち上がった
応援席からは男子の悲鳴や女子の歓声が聞こえた
角名:しっかり捕まっててね
- 『 走るよ 』と言えば角名くんは走り出した
肩車なんて初めてだったから
あたしは怖くて角名くんにしがみつきながら目を閉じた
パァン!
放送:1位は白組だー!
応援席:おおおー!!!!
- どうやら1位でゴールをしたらしい
角名:やったね,1位だって
- そう言って微笑む角名くん
でも全然下ろしてくれる気配がない
あなた:す,角名くんもう下ろして……!
角名:え?何で?
あなた:だ,だって角名くんの肩が壊れちゃう!!
- 彼はこの強豪校のレギュラースパイカーだ
そんな彼の肩にあたしは乗っている
角名:壊れないよ
あなた:え……?
- 『 だってあなた全然重くないし,寧ろ軽すぎ 』
と笑われた
ずるい____ずるいよその笑顔
また胸がキュウッって締め付けられる
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。