放課後になって、なにやら集会がたまに開かれることを知った。
ていうか学校が1つの組織みたいになってんのは灰高ならではなのかな。学校同士で争ったりしてるんだろうか。
もちろん知りたがりの愛羅さん。聞いてみた。
すると、
バッサリ。みごとバッサリ切られた。
つまり学校の生徒たちね。
いる気満々だった。あたしも防衛?協力しようとか考えてた。
あらVIP待遇。でも、
シュンとしてたら壱馬は少し黙ってなにか考えていた
やった!
そう言おうとした私より先に壱馬が言う。
なるほど!って……壱馬の家!?
あたしは……
なんで分かるんだろう、こやつ。
エスパーなのはもう重々分かったけど、やっぱり相変わらず驚いてしまうのは致し方ない
そうだ―――。
会いたくないとか、憎いとか思ってたらあんなに愛のこもったお弁当は作れない。
あたしは大きく頷いた
びっくりなんですけど! 初耳だし!
そんなにいっぱいいるとは知らなかった。
あたしを誘拐まがいなことをしたあの人が兄だってことは知ってるけど。
はい!!!???
異母姉妹だよね!?
ってことは、半分血繋がってるんだ!
大事なことを全然言わない壱馬を睨むあたしに渋々言う
コクリと頷いたあたしに、少しため息をつきながら口を開いた
あの無愛想な奴は兄貴か…。そういえば壱馬は何歳なのって聞いたら、お前より兄貴で高校通ってんだから18に決まってんだろって言われた。
聞くなよって顔。愚問だろって顔。
こいつも結構分かりやすい。
だからだよ、って続けた壱馬は少し照れているみたいだった。
あたしは心の中でホッコリ嬉しかったけど、それを隠して『そっか』と言った。
そして、また壱馬は兄弟の話を続けてくれた。
ほーヤンキーの弟もヤンキーか。
……もちろんそんなこと言えるわけが無い。。
実はシスコンらしい。これもモチロン言えるわけが無い。。
あたしが頷くと同時にテキパキ進める壱馬はよっぽどさっさと帰って欲しいみたい。
壱馬が『慎』、って名前を呼ぶと教室から威勢のいい返事が聞こえる。
なんだ好青年っぽい綺麗な顔だち。
リードの慎。一応クラスメイト……。
でも、灰色の制服は見事に着崩されていて、もはやあんまり原形をとどめてないような。。
どうやら原形に近いのは北人っぽい。
なんか変に緊張しちゃって勢いよく立ちすぎた。
恥ずかしいから、反動で倒れた椅子は放置して帰ろう。
また明日ねって返してくれた北人に、また明日って返して。
じゃあなって言った翔平に、じゃあねって返して。
またなって言った樹にまたねって返して。
あたしは教室をあとにした。
トップのみんなはあたしが彼女じゃないって知ってる。
だから多分、同じクラスのリードも。
なのに、どゆこと??
壱馬が1番強いらしい。だからヘッドなのか。
あれ、でもトップのみんなは?
自慢には聞こえなかった。慎は『喧嘩はね』って最初に言ったから。トップの彼らは、慎より上。その理由は喧嘩の強さだけじゃない、そう真っ先にしめしていたから。
自分の次に強い慎を送らせた。
その壱馬の気持ちが本当は物凄く嬉しかったけど恥ずかしかったから『ふぅん』って言っておいた。
そんな見た目とは裏腹にやたら凄い慎。
そんな慎があたしなんかのために……
慎はニッコリ笑ってくれた。
送ってくれたのはバイクでだった。
壱馬の家がどこなのか知らないけど、そんなバイク使わなきゃ行けないくらい遠いのかな?
バイクの後ろで落ちないように必死でしがみつきながらそう思ってた。
たしかに、あたしが借りてるマンションよりは学校から離れてるけど、バイクで飛ばしちゃったからあまりに一瞬だった。
ヘルメットを慎に渡してバイクから降りて目の前の家を見上げる。
……言葉を失った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。