大声で私の名を叫ぶ美咲は私の親友。中学からの知り合いで同じ高校に入ってから仲良くなった。
中学は6クラスもあったものだから、同じクラスになったこともなかったし、話したこともなかった。
でも、高校に入って同じクラスになり、隣の席になってから、私たちは驚くほどの自分達の相性を知った。
大声で会話する私たちは相性が良すぎた。
好きなこと、好きな教科、好きな色。
どれも同じで、初めての会話の中では
は「私も!!」と言うことが何回もあった。
それを言ったとき、聞いたとき、お互いにお互いを気に入っていった。
そこまで気があうと、まるで自分を見ているような気分になる。
でも、性格が一緒というわけではなかったから、自分を見ているようには感じなかった。
私が嫌なことは美咲も嫌で、お互いに嫌いなことはしなかった。
それでも、違うこともたくさんあった。
それはそれで、良かった。
違うところもあったから、お互いに相手に優しくできて、気配りできて、信頼できた。
なんでもかんでも同じだと、気を使って合わせているんじゃないか、そう思ってしまうから。
お互いに遠慮はせずにありのままの自分でいられた。
だから、お互いに相手を傷つけないでいられる。
そんな関係が私たちを親友へと繋いだ。
今はお昼で、私たちは屋上で食べている。
屋上にはたくさんの人がいるけれど、私たち2人だけの秘密の場所があるから、周りは静か。
だから、こんな話ができるのもここだけだ。
最近は、ずっと恋バナをしていてここ1週間は私の好きな人の話を少しずつしていた。
初めて話したとき、美咲は名前は最後に知りたいっていうから、誰かわからない私の好きな人の話をずっとしていた。
そして今日、ついに、同じクラスだということを告白した。
毎日毎日話の後に羨ましがれるが、羨ましがるのはこっちの方だ。
私は美咲の後ろにいる人に気づき、美咲の頭を軽く叩いた。
美咲の後ろに隠れていた山下くんが顔を出した。
山下くんは美咲の彼氏で、入学してすぐ、1週間もたたないうちに付き合い始めたクラス第1号のカップルだ。
山下くんが美咲の頭をコツンと叩いた。
そう言って頭を抱える美咲はほっぺたがちょっと赤くなっていて可愛かった。
いーなぁ、私も彼氏ほしいなぁ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!