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第1話

大きな空
227
2019/08/31 08:14
そらちぃside
あなた

そらってさ、いい名前だよね。

真夏の昼下がり、クーラーがよく効いた部屋で、入道雲が泳ぐ青空を眺めながら呟くあなた。
そらちぃ
あなたもいいじゃん。
好きだよ俺あなたってかわいくて。
あなた

えー、私は好きじゃない。

あなた

私もそらって名前がよかったなぁ。

あなたはちょっと不思議なところがあって、3年の付き合いがある俺でも何を言っているのかさっぱりわからない。
そらちぃ
なんでそらがよかったの?
こういう時は話に付き合ってあげるのが一番だと思って優しく聞いてみる。
あなた

だってさぁ、かわいいじゃん。

「それだけ?」
って言いそうになった言葉を飲み込んだ瞬間焦って話し出すあなた。
あなた

あ!それだけじゃないよ!

あなた

空っていろんな表情を見せるの。
今日みたいに真っ青だったり、
淀んで暗かったり、
雨が降ってたり、
星が輝いてたり、
虹がかかってたり。
そらにはいろんな才能があるでしょ?
本当に名は体を表すんだなぁって。

あなた

まぁそらは空みたいにおっきくはないけどね。

あなた

チビでかわいいね。

一言多いけど、いつもふわふわしてるあなたが俺をそんな風に思ってくれてるのが嬉しくて。
そらちぃ
あなたの方がチビのくせしてよく言うわ!
なんて言いながら力一杯抱きしめる。
あなた

痛いなぁ!

って俺の肩をぺちぺち叩いてくるあなたがかわいくて。
改めて大木空に生まれてきてよかったなぁって心から実感した日。

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