第134話

及川さんの忠告
2,722
2021/05/14 22:00

次の日の放課後。


部活も終わり、今山口くんと一緒に帰ってきたところだ。


月島くんは、なんか『用事がある』とか言って先に帰っちゃったけど…。



今日は課題も先に終わらせちゃったし、英くんの家に行ーこおっと!







あなた「英くーん。居るー?」


コンコン、とドアをノックすると、ガチャリとドアが開いて。



及川「あっ、こんにちはぁ」



…………。




ガチャン。




何も見てない何も見てない。


いやー、今日は課題も先に終わらせちゃったし、家でゆっくりするかー。




及川「ねー酷くない!?国見ちゃん!君のご近所さんすっごく俺のこと嫌いみたい!」


国見「勝手に家に来た及川さんも酷いです。あなたに会いたいからって、会わせませんよ」


及川「えぇー?だってあなたちゃんだって会いたかったよねー?(ガチャリ」



あなた「ギャアアアアア!!!」



国見「あぁもう……あなた早く入ってきて。近所迷惑」






ごめんて。









あなた「及川さん紅茶飲めます?ってか帰ります?いつ帰りますか?」


及川「え、そんなに追い出したい?俺のこと」


あなた「やだなーアメリカンジョークですよーあははははー」


及川「わー愛想笑い下手すぎー」



及川さんは結構ノリが良くて話しやすい。


イケメンは話すの難しいですなぁトホホと思っていたのはいつだっただろうか。





国見「お風呂入ったけど、あなた入る?」


あなた「えっ、良いと!?入るー!」


国見「だから警戒心持てって何回言った?今まで」


あなた「えっとー…今日ので52回?」


国見「数えてんのかよ」



警戒心くらい兼ね備えておりますとも。毎回段差で転けるがな!アッハッハ!!



あなた「で、お風呂入って良い?」


国見「はぁ……良いけど。及川さん、あなたが風呂に入ってる間、絶対風呂に近づかないでくださいね。近づいたら潰しますね」


及川「この一年たちすごく怖いんだけど。何なの?」









ーお風呂後ー





あなた「英くんありがとー」


国見「うん……ってパジャマは?」


あなた「下着は持ってきてたけどパジャマ忘れたー。英くんの借りた!」


英くん顔はすごく可愛いのに、何でこんなに服のサイズでかいの?180超えてるなんて信じられない。



及川「あなたちゃん可愛いね。それ」


あなた「……」



唐突に可愛いと言われたら困る。少しずつ熱くなっていく顔を見せないよう、慌てて俯いた。



国見「…何赤くなってんの?」


あなた「なってないよ、バカ」


及川「でもお酒飲んだらもっと可愛いんでしょ?」


あなた「お酒?」


国見「ちょっと!!」



やけに慌てる英くんと、それを面白がる及川さん。


「教えてあげなよ」と肘でツンツンする及川さんに折れて、英くんはポツポツと話し出した。



国見「この前……記憶はないだろうけど、あなたは間違えて酒を飲んだんだよ。それで、暴走したあなたに俺すごく焦って……」


あなた「お酒……暴走……!?」



まっ、まさか……うちはお酒を飲むと暴君になってしまうのか…!!



あなた「どっ、土下座、」


国見「いや、暴れたわけじゃないから。ちょっと赤ちゃん返りしたというか、そんくらい」


及川「すごく可愛かったって国見ちゃんが話してたよー」


国見「及川さんが無理矢理聞き出したんでしょ」



あなた「うわわっ、赤ちゃん返りとか恥ずかしすぎる!!」


国見「……まぁ、深夜に起こしてもそうなるけど」


あなた「?」


国見「…なんでも」



つー…と目を逸らす英くん。あーあ、もう話すのも疲れてきちゃった。



あなた「もう帰るね」



及川「え、その格好で?」


国見「アイツ、すぐ俺の服着て帰ろうとするんですよ」


及川「そ………あっ、まって!俺も帰るー!」



家の奥から、ドタドタと誰かが走る音が聞こえてきた。











あなた「お見送りですか?隣の家なのに」


及川「あなたちゃんは可愛いから危ないの!ちょっとの時間でも!」



は、はぁ……?




あなた「じゃあ、うちはこれで……」


及川「あ、待って、」








及川「狂犬ちゃんに、気をつけて」






狂犬ちゃん?






言葉の意味は分からなかったけど、その忠告に、一応お礼を言っておいた。





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