第195話

北さんはイケメンじゃねぇ美人なんだby主
2,027
2021/08/20 22:00

ほぅ、疲れたぁ………。







あなた「倫くんに会いたい……」








知らない人ばかりの中で授業を受けるって,こんなに疲れることなのか……。





放課後,トボトボと1人廊下を歩くうちは、皆の好奇心の餌食となっている。まぁそうだよね、知らない子がめっちゃ疲れた顔で歩いてんだから。










角名「……あ、あなた」



あなた「はぁっ、倫くーんっ!!」






ドーン、と音がするような勢いで彼に飛びつく。倫くんは一瞬体勢を崩したが,すぐに立て直した。







角名「な、なに」



あなた「良かったぁ、知ってる人って落ち着く…」



角名「おつ。……で、皆見てるから早く部活いこ」



あなた「はーいっ!」



角名「あ、待って」







倫くんに呼び止められて立ち止まると、頭から何か布のようなものをかけられた。


それを慌てて取ると、それは『稲荷崎』と書かれたジャージ。






角名「それ着て。一応稲荷崎のマネなんだから。あとそれ、侑のだから汚さないように」



あなた「ありがとうございます……」






侑って、あのちょっと感じ悪かったやつじゃん……。


でも貸してくれたんだから、きっと良い人だよね。うんうん、いい人だ。


うちはジャージをその場で着ると,大きく拳を突き上げる。ジャージがデカすぎて袖から手が出てこなかったけど。






あなた「レッツゴー体育館!」


角名「おー」



ノってくれた。















角名「……あ、北さん。マネージャーの子連れて来ました」



倫くんの後ろについていくと,彼が立ち止まったのはある男の人の前。


白っぽい髪の毛で、端正な顔立ちの綺麗な人だった。






北「ん?あ、ほんまや。兎和さん……やっけ?北信介や、よろしくな」



あなた「……はひっ」



角名「あー…ちょっと緊張してるっぽいです」



北「角名、親御さんみたいやなぁ。ええよ、今日はとりあえず見学だけにしとき」



あなた「あ、ありがとうございます」



北「(人見知りっぽいけど,礼儀は正しいんやな)」








北さんにペコリと頭を下げると、倫くんは中に入っていく。うちもそれに慌ててついて行く。


体育館の中では,見慣れた光景が。






あなた「わーっ、バレーしてる!」



角名「そりゃバレー部だから……とりあえず荷物あそこに置いて,見学してな」



あなた「ハーイ!」













稲荷崎は、烏野とはまた違った。


スパイクが全員ちゃんと強いし,悔しいけど侑くんのトスもすごく的確。


素人のうちにもわかるのだから、それくらい、稲荷崎はすごいんだろう。



もしかしたら……今度の春高、稲荷崎と当たるかも。



とりあえず、彼らの特徴をメモしておくことにした。







あなた「んーと………治くんは、」



??「こーら、何してんねん」



あなた「っ…!!」







後ろからニュッと手が出て来て,メモ帳を取られた。


くるりと振り返ると,そこには侑くんが。


いつのまに……。







あなた「………」



侑「俺らの特徴でも掴もうとしたんか?許さんで」



あなた「(むっ)」



侑「やから嫌やって言ったのに……」






そうやってぶつぶつと嫌味を吐く侑くん。


こんな人でも,うちにジャージを貸してくれたんだ。


お礼を言わなきゃ。


そう思い,侑くんに話しかける。







あなた「あの、これ……ありがとうございます」



侑「?」



あなた「ジャージ……」



侑「あー……ん」

 


あれ……?ちょっと照れた……?





あなた「……ははっ、可愛い…w」



侑「はぁ!?誰が『可愛い』やねん!コラっ、逃げんな!!」



あなた「練習してくださあああい!!!」















角名「……え、仲良くなってない?」





治「あの子、恐ろしいわ…」











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