あなた「来てくれてありがとうございました!」
澤村「あぁ、こちらこそ。スガの面白い場面が見れたぞ」
菅原「ちょっと!!」
旭「あ、動画もあるよー。送っとこうか」
あなた「えっ、ホントですかー!?✨」
菅原「いっ、いつの間に連絡交換してんのかよ…!」
と、子犬のような目で見つめてくる菅原先輩が可哀想になってきたので、イジるのはここまでにしよう。
澤村「そういや、もうすぐやっちゃんと影山のクラスの出し物があるらしいから,それ終わったら見にこいよ」
あなた「はーい!月島くんと山口くん強制連行ですね!」
バイバーイ、と手を振って仕事に戻ろうとすると,数人の女子が寄ってきた。
なになに,怖い,殺されるーっ!!
「何よー,他学年とも仲良いのー?」
「誰が彼氏!?まさか菅原先輩!?」
あなた「えぇー!?ちが、違うよ……」
狼狽えて言ったのが悪かったのか、さらに疑いを持たれてしまった。
「休憩入りまーす!」
人数が少なくなってきたところで,シフト(?)終わりの合図があった。
ようやくこの地獄のような(ちょっと楽しかったけど)時間は終わったのだ,早くこれを脱がなければ。
あなた「山口くん、頑張ってね」
山口「う、うん…!」
午後の部が担当である山口くんは、すでにウェイトレスのような格好をしていた。でも可愛さが残っているな,君は可愛さと一生向き合っていく運命なんだな。
月島「ちょっと、なに外そうとしてんの」
頭に付いたカチューシャを取ろうとして,月島くんにグッとその手を押さえられる。
あなた「なんでって……」
月島「そのままでいいでしょ。ほら、王様たちの行くんじゃないの」
あなた「わあああぁぁ……」
あなた「あっ、もう始まってるー!」
月島「コッチ」
沢山の人に呑まれそうになったうちの手を慌てて掴んでくれ,さらに席まで誘導してくれる月島くん。
せっかくメイド服を着るのならとメガネも外してきてしまったが,この席なら見えるだろう。
あなた「ありがと。ってか月島くん、影山くんのこと嫌いじゃないの?」
月島「嫌い……。でも、あなたはこれ,見たかったんじゃないの?」
あなた「…うん。ありがとう」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。