第36話

朝読書
4,962
2021/01/25 21:53

烏野高校では、HR前、10分間の読書タイムがある。


うちは読書が好きだから、この時間が大好きだ。


今日は、お母さん達が買ってくれた、『1%の恋人』を持ってきた。


いくらうちが、恋愛に興味なさそうだからってここに手間かける…?


ちょっと変わった両親に感謝しつつ、本を開く。




物語の主人公はモデルで、あるMVを撮影することになった。


そこで出会った女性に一目惚れ、2人は一気に仲良くなる…。


年下である主人公をからかう、年上の女の子__________。


そんな感じの物語のようだ。




ーー

主人公『〇〇さんといると、やっぱ楽しいですね』


女の子『ほんとぉ?ありがとー!私も楽しいよ』


あぁ、ほらまた、思わせぶり__________。


でも、そんな思わせぶりな言葉でも、単純な僕は舞い上がって。


また、好きになっていく。


ーー




うぅ…きゅんきゅんする…!



恋愛に面識のないうちは、思わず頬が緩んでしまう。


顔が見られないよう、本を閉じてそれを額にコツンと当てた。





恋って、憧れるなぁ…。



何気なく横を見ると、月島くんと目が合った。


最近席替えをし、なんと彼が左隣になってしまった。


ちなみに席は1番廊下側の、3列目である。



彼が読んでいる本は、難しそうな推理小説のようだ。


うちは小さなリングノートに『どんな本ですか?』とかいて、彼の机にポンと置いた。


先生にバレないように、またうちは本を開いて読んでるふりをする。


しばらくすると、答えが返ってきた。


『シャーロックホームズ』


少し小さめの綺麗な文字。


意外と可愛らしい字体で、不覚にも笑ってしまう。


『難しそうですね。推理小説好きなんですか?』


『嫌いじゃない。そっちは何の本?』


『恋愛小説です。お母さん達が買ってきてくれて…めっちゃきゅんきゅんです。』


『ふーん、だからニヤついてたんだ』



なっ…!!


思わず彼の顔を見ると、彼はこちらを見てニヤリと笑っている。





バレてた…!!!



『誰にも言わないでくださいよ?』


ノートを渡すと、彼も返事を書いてくれる。


『言わないよ。』


そう書いてこちらに見せてから、彼はまた何かを書いている。









『可愛かった。』







あなた「んなっ…!!//」



シーンとした中で声を出してしまい、うちの声が教室に響く。


みんなに爆笑された。


月島くんも、自分は関係ないとでもいうようにクスリと笑っている。



あなた「もー…!」



むかついて、彼の頭をわしゃわしゃしてやった。













月島くんとの交換ノートが楽しかったのは、内緒ね。


























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読んでくださりありがとうございました😊

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