第50話

聞こえてた
4,477
2021/02/12 23:00

烏野は現在休憩中で、応援席に座っていた。


今試合中なのは、英くんのいる高校、青城だ。



あ、さっきのチャラい人。



彼は空中にボールを投げ______







盛大にジャンプをして、相手コートにボールを打った。



そのボールは、気付かぬうちに相手コートにあり、相手校はボールを取れず。



あなた「あの人、強かったんだ…」


日向「ん?」


あなた「あ、いや…」


青城は現在21対10で圧勝中。


怖い怖い…。



月島「…ね、あなた」


あなた「はい」


月島「…さっきのお礼とかないの」


あなた「え?…あ」


月島くん、うちを逃すために嘘ついてくれたのか…。



あなた「ありがとうございます」


月島「…はぁ」


何でため息つくの!?



月島「…ごめんなさいじゃないの?」


あなた「え」


月島「他校の奴らに絡まれてさ、ほんとに心ぱ…やっぱなんでもない」



聞こえちゃった。


誤魔化されたけど。



あなた「…心配してくれたの?」


月島くんは肯定も否定もしない。


あなた「…嬉しい」



いたずらっぽく笑うと、彼は目を丸くして、すぐうちから目を逸らした。



なんで!!


正直な気持ちを伝えただけなのに!!



菅原「…あなた、何ほっぺ膨らましてんのw」


あなた「…月島くんのこと嫌いになりそうです」


月島「は?聞いてないんだけど」










月島「勝手に嫌いにならないでよ、」



ピー!



彼の小さな声は、ホイッスルによって掻き消された。



あなた「…ん?なんか言った?」


月島「…何も」



あなた「そ…」



菅原「はぁ…、」


菅原先輩は一瞬だけ切なそうに目を逸らしたが、すぐに隣の澤村先輩と話し始めた。




うちは、後ろの席にいる月島くんの袖を引っ張る。














あなた「……聞こえたよ」



月島「…っ」





ちゃんと聞こえてた。











あなた「勝手に嫌いになんてならないから、」






ね?と笑ってみせると、彼は大きくため息をついて、両手で顔を隠した。









月島「ほんっとばか……//」







その声は小さすぎて、流石に聞き取れなかった。












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