あなた「たっだいまー!!」
母「おかえり。元気いいね,どうしたの」
あなた「稲荷崎の人とおしゃべり出来るんでしょ!?今日!」
母「あら、ちゃんとLINE見てくれてたのね。そうなの,ある男の子と電話が繋がってるから、あなたとお話させてみようかなって」
あなた「う………うちが話すの?それはちょっと……」
母「ほらほら、電話番号も送ったでしょ!部屋で存分話してきて!」
初対面の人と存分に話すことなんてないですけど……。
ウキウキしているお母さんにそんなことは言えず,うちは稲荷崎の誰かさんに電話をかけることとなった。
ー部屋ー
プルルルルルッ
『………はい』
あなた「稲荷崎の方ですか?あの、今度臨時マネージャーとしてお世話になる兎和です」
『あー、聞いてる。ひょろひょろって聞いてるけど大丈夫?』
初対面だよね?ってか、関西弁じゃないんだ、この人。
角名『俺、2年の角名倫太郎ね』
あなた「じゃあ、倫くんって呼びますね!」
角名『あ、あぁ…別に良いけど。あのさ、ウチのバレー部、結構曲者いるけど大丈夫?』
文面だけなら心配してるように見えるけど,めちゃくちゃ棒読みである。
囁くような声はとても優しく,かなりカッコいいとか言ってみたりする。
あなた「曲者?烏野もそんなのたくさんいますから大丈夫ですよ」
角名『あ、そう?女嫌いの奴と飯好きの奴と真っ直ぐすぎ主将がいるけど大丈夫?』
あなた「あ、結構クセ強……でも暴言王様と意地悪ブロッカーと人たらし先輩よりは全然」
倫くんは先輩だけど、意外と話せる。
なんというか、今の話を聞く限り,倫くんは稲荷崎バレー部の中で1番マシなんじゃないかと考えてるから。
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角名『……じゃ、おやすみ』
あなた「おやすみなさい」
ブチっと電話が切られる。
どんな曲者がいても,倫くんがいればきっと大丈夫!!!
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おまけ‥数日後のあなた
倫くんがいればきっと大丈夫なんて思ってた自分を殴りたいです。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。