第72話

保健室にて
3,851
2021/03/09 22:24

次の日の朝は、ひたすら誰も喋らなかった。


結果がどうなったのかは分からない。


でも、少しでも希望があるのなら______________










部活




澤村「集合ー!」


キャプテンから号令がかかり、うちらは彼ら…扇西高校の方々の周りに集まった。



そっか…今日、練習試合の日だったっけ。


澤村「挨拶!」


「「お願いしゃーっす!!」」



あなた「よろしくお願いします…!」


谷地「あなたちゃん、元気ない気がするんだけど…大丈夫、デスカ?」


あなた「え!?う、うん!めっちゃ元気!!」



顔に出ちゃってたかなぁ…?






アップが始まった。


扇西高校、結構迫力あるなぁ…。


澤村「そろそろ始まるから、着替えとけよー!」


「「うーっす」」



そう返事をし、日向くんは急にシャツを脱ぎ出した。



谷地&あなた「「ひぃあっ!?」」


菅原「あっははは!日向後前だぞー」


見れねぇ…。


清水「ごめん…慣れてね」


清水先輩はすっかり慣れているようで、顔も隠さずうちらに微笑む。


あなた「聞いてないです!こんなの!」


清水「言い忘れてた、ごめんね」


あなた「許します」




あなた「ってか…日向くん、ユニフォーム似合いますね」


日向「ホント〜!?」


あなた「うん、かっこいい」


日向「かっこいい!?月島ー、俺かっこいいってー!!」


月島「身長伸ばしてから言いなよw」


日向「何だと!?」


あぁ、喧嘩始まっちゃったし…。



あなた「はぁ…」


谷地「…やっぱり、元気ないよね?」


むぅっと口を尖らせたまま顔を覗き込んでくる仁花ちゃん(可愛い)。


あなた「いや、そんなこと…」


谷地「清水先輩!わ、私、あなたちゃんを保健室に連れていきます!」


清水「そうね、今日はちょっと調子悪いみたいだし…」


谷地「ありがとうございます!」


あなた「え、ちょ、やっさん!?ホントに大丈夫だからぁ〜!!」










…というわけで現在、わたくしは保健室に居るであります。


仁花ちゃんはうちをここに連れてきた後、「待って無理矢理連れてきちゃった!ごめんホント、土下座するからぁぁぁぁ!!」とよく分からないことを言っていた。



あーあ。



あなた「1人、やだなぁ…」



ちなみに今、ちょっと寝て起きた頃。


何か2人のことが心配になっちゃって号泣して、眠くなってきて…みたいな感じ。


時間を見れば、そろそろ練習試合も終わった頃だと思うんだけど。


ってかちょっと暑い…。


そう思って、うちは制服の上だけを脱ぎ、キャミソールになる。



??「失礼します」


??「失礼しゃーす」


複数の人が入ってくる。


この声は……男子バレー部だ!!



あなた「皆ああああ!!会いたかったよ!」


バーンとカーテンを開け、やっほーと手を振る。


何故か皆は固まっていて……




菅原「バカバカバカ!!閉めろ早く!!!」


真っ赤な顔の菅原先輩が近寄ってきて、カーテンを閉められる。


あなた「え…せっかく会えたのに!何で閉めるんですか!!」


菅原「自分の姿見ろよ!!」


あなた「キャミソールです!!」


菅原「堂々と答えなくていいから!!」



だって暑かったんだもん…。


まだ暑かったけど、渋々制服を着直した。



あなた「これでいいですか」


菅原「うむ、よろしい」


カーテンの向こうにいたのは菅原先輩、澤村先輩、月島くん、山口くんの4人だった。


本当は皆で来ようとしたけど、大人数で来るのは流石に…というわけで、4人だけらしい。


山口「もー…次からは気をつけるようにっ」


え、何で端っこでうずくまってるんですか。


あなた「ダメなんですか?」


月島「山口、こいつはもうダメだ」


だから何で顔隠してるんですか。


ってか。



…これから帰るのかぁ。


ちょっと憂鬱。




正直、帰りたくない。


お母さん達の結果を聞くのが怖い。心の準備がしたい。



菅原「……あなた?」


あなた「……?」


菅原先輩はうちの耳元に顔を寄せ、小さな声でこう言った。




菅原「家、帰りたくないんでしょ。うち、来ていいよ」



え。



あなた「だ、だめです。お家の人の迷惑に…」


菅原「大丈夫。許してくれるべ」



あなた「…ありがとうございます」



うちらの会話に、月島くん達は首を傾げていた。




そんなこんなで、うちは菅原先輩の家に一泊、泊めてもらうことになった。

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