第122話

ゆうくん
2,989
2021/04/28 07:45

ピピピピッ  ピピピピッ



あー……うちの嫌いな目覚ましの音だ。




今何時……?まだ4時じゃん……ん?




あなた「今日予選だったぁー!!」











あなた「行ってきまーす!」



母「いってらっしゃい…いっぱいサポートしてきなさいよ」


父「くれぐれもケガには気をつけるんだよ」


あなた「うん!ゆうちゃんも行ってくるね」


そう言って、尻尾をふりふりしているゆうちゃんの頭を撫でる。




すっかり仲良くなったお母さんとお父さんに見送られ、うちは家を出た。



今日はさらに気合を入れるために、ポニーテールにして来たんだよねー。






ワクワクしながら勢いよくドアを開けると、そこには__________








月島「……何突っ立ってんの。置いてくよ?」


山口「あなたちゃん、おはよ」




あなた「おは……って、2人とも、何でここに!?」



月島「山口がどうしてもって。ほら、早く」


あなた「は、はい、」





突然のことに頭が追いつかないまま、2人に手を引かれて道を歩いた。



月島くんが右手、山口くんが左手を握り、どんどん2人は先に進んでいく。



あなた「あの…この手は?」


月島「遅いから」


山口「ごめん……学校まで、良いかな?」


あなた「あっ、全然問題ないです」


申し訳なさそうに謝る山口くんの可愛さに負けてしまった。













日向「おーっ!あなたおはよーっ!って月島と山口何で手ェ繋いでんの!?」



月島「うわ、めんどくさ……」




学校にすでに集まっていたバレー部のメンツ。


あとは人数確認をしてバスに乗るだけのようだ。



烏養「全員揃ったなー。人数を確認する。澤村」


澤村「ハイッ!」







点呼が終わり、皆はバスに乗り始めた。




その時、日向くんがこっそり聞いてきたんだけど。



「何で手ェ繋いで来たの?」って聞かれたから、「仲良しだからだよ!」って、適当に答えたら。



日向「そーなのか!?なぁ、俺もあなたと仲良し!?」



って!!!言ってきたの!!!



は?可愛いんだけど。何なの。


癒してくれたお礼に頭なでなでしてあげたよ。




まぁ、そしたら「俺もやって!!」ってゆうくんが来て、さらに癒されたんだけど。







西谷「あなた、ここ」


ぽんぽん、とゆうくんが隣の座席を叩くので、うちは大人しくそこに座った。



あなた「隣失礼します」


西谷「おう!なー、予選だぜ!すっげーデカいとこで戦って、優勝したらもっとデカいとこで戦えるんだぜ!!ちょー楽しみ!!」



あなた「ですね。怪我だけはしないでいただきたいですが」



西谷「んあ?俺は強いから大丈夫だよ」


あなた「ははっ!」




いっ……だ!!!



頭にズキンと痛みが走って、思わずこめかみを押さえる。


なんか知らないけど、起きた時から頭が痛いんだよね。何でかなぁ?



西谷「……痛いのか?」


あなた「あ、ううん!全然!元気ですよ!」




西谷「……無理すんなよ」


いつもは元気で明るいゆうくんが、こんなに心配した顔をしてくれるなんて。


ちょっと申し訳なかったりもする。


あなた「お気遣いありがとうございます…」


西谷「俺に寄りかかってみるか?ちょっと楽になるだろうし」




んー…そうした方がいいかなぁ。


確かに、ゆうくんと場所を変わって窓に寄りかかるにしても、バスの揺れで余計頭痛が酷くなる。


今回は、お言葉に甘えて寄り掛からせてもらうことにした。



あなた「失礼します」


あまり身長差のない肩で、ちょっと寄りかかりづらいけど。


ゆうくんの高い体温と気遣いのおかげで、だいぶ楽になった気がする。











西谷side




うわー、いざ実践すると髪が顔に当たるしなんかいい匂いするしめっちゃドキドキする!!




さっきまでは、我ながら名案じゃねーか!!と思ってただけだったのにな……。



考えてみれば、あなたは女子だし、俺の中では……特別な奴、だったりするんだよな。


特別……ってのは、潔子さんとはまた別の、……説明が難しいな。


はぁ、あなたがくるまでは潔子さん一筋で生きていくはずだったんだけど。



ってか、言うことすぐに聞いたり皆に同じ笑顔で笑いかけたり、無防備すぎるだろ。



チラリと隣のあなたを見てみる。






コイツ……顔、真っ赤だ。




申し訳なさそうな顔しながら、ずっと目線を泳がせている。



まぁ、頭痛はちょっと軽くなったみたいだが。





西谷「……恥ずかしいのか?」



そう聞くと、あなたはもっと顔を赤くした。


クッソ……可愛すぎんだろ。



俺は、赤くなった頬と緩んだ口元が見られないように、片手で顔を隠した。












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読んでくださりありがとうございました!


この、窓に寄りかかるより人に寄りかかる方が頭痛がおさまるってのは、私の体験談です笑。


私が通っている塾が10時まであるんですけど、私夜寝るのが遅いと頭痛くなっちゃうんですよ。


それで、しんどくて窓に寄り掛かったらバスの揺れる衝撃でさらに痛くなってですね。


隣にいた友達に寄り掛かってみたら、結構楽になったってわけです。



万人に効くかは保証しません☆








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