あなた「んぅ〜……ん?」
あれ?昨日北さんと閉じ込められて……寝ちゃって……
なんでちゃんと布団の中にいるんだろう。
まさか、あれ全部夢?夢だった?
………そっか。夢か。
じゃあ………なんでゴミ箱にチョコのゴミが入っとるんだ。
もういい。細かいことはきにしない。
あなた「おはようございます、チベットスナギツネくん」
角名「HA?」
すでに玄関の前にいた倫くんに挨拶をし,2人並んで歩き出す。
角名「てか昨日は災難だったね」
あなた「あっ、夢じゃなかったんだ」
角名「え?」
あなた「いやー、起きたら布団の中にいたので。北さんの腕の中が気持ち良すぎてもう爆睡ですよぉ」
角名「ん?」
あなた「?」
角名「今なんて」
あなた「……爆睡ですよぉ……」
角名「そこじゃねぇ」
倫くんは何があったのやら,一人でブツブツ呟き出した。怖い。
あなた「倫くん………倫くん、目の前電柱だよ」
ゴッ。
角名「い''っ………」
「なぁ、やっぱり角名センパイと付き合っとるん!?」
教室に入るなり,それがうちにかけられた第一声だった。
かなり大きな声だったので,周りの子達は一斉にこちらを振り向く。
あなた「え………なんで、ですか?」
「いっつも一緒におるやん!しかも宮ツインズと仲良い女子とかレアもんやで!?」
あなた「は、はぁ……」
「で、どうなん!?付き合っとる!?」
あなた「いえ、全くもってそんなことはないです」
真顔でキッパリ断ると,その子は目を点にした。
「……そうなん?良かったぁ」
あなた「え、なんでですか?」
「……好きやねん,角名センパイ」
おぉっ、これは好きな展開が来ました……!!
あなた「が、がんばれ!」
「……っ、ありがとー!!あんたほんまはええ子やんなぁ!!名前は!?」
あなた「と、兎和あなた、」
「アタシのことイチって呼んでや!下の名前『イチカ』やねん。アタシが、アンタの兵庫の友達第一号や!!」
兎和あなた、16歳。
兵庫で初めての,お友達ができました。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!