今日は、皆のランニングについて行った。
皆の練習に付き合うために、体力をつけようとしてるんだけど……
あなた「ああああっ!!」
澤村「無理しなくてよかったのにww」
あなた「だっ、大丈夫です…!!」
月島「…ふっ、置いてかれないようにねー」
ニヤニヤしながらうちの横を通り過ぎていく月島くん。
は、腹立つぅ…!!
しかもそこで、うちはつまづいちゃって………
ずってーーん!!
…盛大にずっこけた。
澤村「おい、大丈夫か!?」
すぐさまみんなが駆け寄ってきてくれる。
あなた「全然問題ないですよ。先に行っててください」
澤村「…お前ら、先に行ってろ」
澤村先輩は他の皆にそう言うと、こちらに背を向けてしゃがみ込んだ。
澤村「ほら、乗れ」
あなた「え、だ、だめです!迷惑がかかりますっ!」
澤村「迷惑をかけてこその仲間だ。ほら」
何で、そんな強い言葉が出てくるのだろう。
答えはすぐ出てきた。
この人自身が強いからだ。
こういう人を、リーダーって言うのかなぁ…。
あなた「…すみません」
澤村「おう」
澤村先輩はうちを持ち上げると、皆とは逆方向に歩き始めた。
あなた「えっ」
澤村「ん?お前を合宿所まで届けにいくんだよ」
……あ、そうか。
あなた「澤村先輩、優しいですね…」
澤村「ん、そうか?嬉しいなぁ(笑)」
ははっと笑う先輩。
何でだろ、涙が出てくる…………。
あなた「…っ」
ぽたり、と一粒だけ、澤村先輩の肩に落ちた。
多分、先輩も気付いてる。うちが泣いてること。
でも、黙っててくれる。
本当に、澤村先輩は優しいなぁ…。
あなた「……痛い」
澤村「どこがだ!?傷、触っちゃったか!?」
めちゃくちゃ心配してくれる。
あなた「ふふっ、傷のことじゃないです…、」
何もできない自分が、悔しかっただけです。
大量のタオルを運びきれなくて手伝ってもらったり、怖くて寝れないからって部屋に押しかけたり。
支えるためにマネージャーしてるのに……
支えられてばっかり。
「泣くな」
あなた「………っ!」
澤村先輩の声に、パッと顔を上げる。
澤村「涙がもったいない。泣くのは、嬉しい時だけにしろ」
澤村先輩は………………
あなた「っ、はい!」
強い。
優しくて強くて、まるでお父さんみたい。
お父さん、……
『ふざけるな!!』
…ああ、嫌なこと、思い出しちゃった。
うちは感謝の気持ちを込めて、澤村先輩にぎゅっと抱きついた。
澤村「………で、どこに行ってたんだ」
日向「…すみません」
日向くん、突っ走りすぎて迷子になっていたらしい。
日向くんは床に正座をして、澤村先輩はそれを見下ろしている。
澤村「1人で突っ走るな」
日向「…はい」
お、おお、邪気が見える…。
菅原「やっべー大地鬼みたい……」
澤村「ああ!?」
…澤村先輩は、強い。
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読んでくださりありがとうございました😊
大地さんは、パパ。
何か、人に助けられると泣きたくなることってありません?
私何も出来とらんのに…みたいな。
あれ、これ、私だけ?
やっぱなんでもないです。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。