第16話

お父さん
7,027
2021/01/09 02:23

今日は、皆のランニングについて行った。


皆の練習に付き合うために、体力をつけようとしてるんだけど……


あなた「ああああっ!!」


澤村「無理しなくてよかったのにww」


あなた「だっ、大丈夫です…!!」


月島「…ふっ、置いてかれないようにねー」


ニヤニヤしながらうちの横を通り過ぎていく月島くん。


は、腹立つぅ…!!





しかもそこで、うちはつまづいちゃって………




ずってーーん!!


…盛大にずっこけた。



澤村「おい、大丈夫か!?」


すぐさまみんなが駆け寄ってきてくれる。


あなた「全然問題ないですよ。先に行っててください」


澤村「…お前ら、先に行ってろ」


澤村先輩は他の皆にそう言うと、こちらに背を向けてしゃがみ込んだ。


澤村「ほら、乗れ」


あなた「え、だ、だめです!迷惑がかかりますっ!」


澤村「迷惑をかけてこその仲間だ。ほら」


何で、そんな強い言葉が出てくるのだろう。


答えはすぐ出てきた。


この人自身が強いからだ。


こういう人を、リーダーって言うのかなぁ…。


あなた「…すみません」


澤村「おう」


澤村先輩はうちを持ち上げると、皆とは逆方向に歩き始めた。


あなた「えっ」


澤村「ん?お前を合宿所まで届けにいくんだよ」


……あ、そうか。


あなた「澤村先輩、優しいですね…」


澤村「ん、そうか?嬉しいなぁ(笑)」


ははっと笑う先輩。


何でだろ、涙が出てくる…………。



あなた「…っ」


ぽたり、と一粒だけ、澤村先輩の肩に落ちた。




多分、先輩も気付いてる。うちが泣いてること。


でも、黙っててくれる。


本当に、澤村先輩は優しいなぁ…。






あなた「……痛い」


澤村「どこがだ!?傷、触っちゃったか!?」


めちゃくちゃ心配してくれる。


あなた「ふふっ、傷のことじゃないです…、」


何もできない自分が、悔しかっただけです。


大量のタオルを運びきれなくて手伝ってもらったり、怖くて寝れないからって部屋に押しかけたり。


支えるためにマネージャーしてるのに……





支えられてばっかり。




























                   「泣くな」





あなた「………っ!」




澤村先輩の声に、パッと顔を上げる。


澤村「涙がもったいない。泣くのは、嬉しい時だけにしろ」


澤村先輩は………………











あなた「っ、はい!」











   
   強い。



優しくて強くて、まるでお父さんみたい。


お父さん、……



『ふざけるな!!』




…ああ、嫌なこと、思い出しちゃった。




うちは感謝の気持ちを込めて、澤村先輩にぎゅっと抱きついた。



















澤村「………で、どこに行ってたんだ」


日向「…すみません」


日向くん、突っ走りすぎて迷子になっていたらしい。


日向くんは床に正座をして、澤村先輩はそれを見下ろしている。


澤村「1人で突っ走るな」


日向「…はい」


お、おお、邪気が見える…。


菅原「やっべー大地鬼みたい……」


澤村「ああ!?」






…澤村先輩は、強い。








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読んでくださりありがとうございました😊

大地さんは、パパ。

何か、人に助けられると泣きたくなることってありません?

私何も出来とらんのに…みたいな。

あれ、これ、私だけ?

やっぱなんでもないです。

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