山口「ここだよ」
2人の後についていくと、そこにあったのは体育館。
中から、微かにボスっボスっとボールを打つ音が聞こえてくる。
月島くんが重そうなドアを開け、山口くんとうちは後に続いた。
あなた「し、失礼します…」
体育館の中にいた人達の視線がこちらに注がれる。
………というか、前の2人が大きいから、うちはその後ろにしっかり隠れてしまっている。
山口「皆さん!マネージャー候補、連れてきましたよ!」
その山口くんの声を聞いて、うちは彼の背中からひょこっと顔を出した。
あなた「ど、どうもです……」
うわぁ…遠目でもわかる、皆さん、めっちゃ背、高い…。
反応を待っていると、急に坊主頭の人と前髪だけ金髪の小柄な人が走り寄ってきた。
あなた「えっ、えっ!?」
ど、どうすればいいのだ!?
??「お前、男バレのマネやるのか!?」
こっ、声でか!!
あなた「あ、はい…?」
??「やったぜノヤッさん!女子マネが増えた!!」
その走ってきた2人はハイタッチをして、うちに抱きつ…こうとした。
誰かがうちの腕を引っ張って、ギリギリ回避したのだ。
…………まぁ、坊主さんと''ノヤッさん''は外に勢いで突っ込んで行っちゃったんだけど。
うちを助けてくれたの、誰?
??「ほら、やっぱりとろい」
…月島くんだった。
ニヤリとイジワルそうな笑みを浮かべるのは腹立つ。
………でも、助けてくれた、よね?
あなた「月島くん!」
部室に向かおうとしていた彼の裾をくいっと引っ張り、呼び止める。
月島「…何」
あなた「あ、ありがとう!………ございます……」
感謝の意を伝えるときは、相手の目を見て。
お母さんがそう言っていたのに、なかなかできない。
視線をそらして、ちょっと拗ねたような言い方になってしまった。
彼はちょっと驚いた顔をしていた。
月島「………ん」
え、そ、それだけ?
山口「あれ、ツッキー、耳赤くない?」
月島「うるさい山口」
山口「ごめんツッキー☆」
そんな会話をしながら、月島くんと山口くんは、そのまま部室へ向かった。
………あれ、ここ、知り合い誰もいないよね?
…やばくね?うち、どうすれば良いん?
気づけば、うちの周りにはバレー部の人達であろう男子が集まっていた。
あ、圧が……!!
怖くなって、思わず隣にいた人の裾を掴んでしまっていた。
??「どうしたの?怖い?」
幸い、その人はすごく優しそうで。
ちょっとほっとした。
あなた「怖くない、です。兎和あなたです…よろしくお願いします…」
??「手、ちょっと震えてるの伝わってくるよww
俺、3年の菅原孝支。よろしくね、あなたちゃん」
??「ちょ、スガさんずりーっすよ!女の子に裾握られたことなんて俺、一回もないんすけど!」
あなた「確かあなたは…ノヤッさん、でしたっけ?」
??「おう!2年の西谷夕だ!よろしくな!」
あなた「ゆう、くん…」
ノヤッさん「ふぇ!?///」
あなた「あ、家で飼ってるチワワ、ゆうちゃんって言うんです。女の子だけど…」
??「あーっはっは!!ノヤ、ゆうくんだってよ!可愛いな!!
あ、俺田中龍之介。よろしく!」
あなた「す、すみません。ふと思っちゃったもので…」
ノヤッさん「……いや、それでいい」
…え、いいの?
ノヤッさん「女子に下の名前で呼ばれるのは悪くない!!(きっぱり)」
ほ、ほぅ…?
??「俺、日向翔陽!1年!なぁ、バレーできる?トスあげてよ!」
あなた「え、え?トス、ですか?」
用語はわかるけど、うちバレーやってないし!!
ワクワクした子犬のような瞳で見つめられて、ちょっとドキッとする。
…………か、可愛いっ!!!!!!!!!!
何、男子バレー部って可愛い人多くない!?
山口くんとか、菅原先輩とか、ゆうくん(って呼んでいいのかな)とか、日向くんとか!!
??「ウルセェ日向ボケェ。俺1年の影山飛雄っす。おねがいしゃっす」
影山くんの他にも、バレー部の人たち全員が自己紹介をしてくれた。
あぁ…温かい。
いま、すごく幸せかもしれない。
頼られて。歓迎されて。こちらに優しい笑みを浮かべてくれる。
皆さん。
あなた「っ、よろしくお願いします!!」
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何か、あんまり博多弁関係ないですねww
まぁ、これからちょこちょこ出てきますよ。あは☆
じゃあ、ばいちゃ! ←使い方合ってます?コレ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。