清水「…起きてあなたちゃん。着いたよ」
綺麗な声が聞こえて、重い瞼を開ける。
そこには、懐かしい景色があった。
あなた「か、…帰ってきたぁ〜」
清水「寝ぼけてるの?おーい」
目の前に女神の顔が現れ、はっと目が覚める。
あなた「お、おはよー、ございまつっ…」
清水「…噛んだね(笑)」
クスクスと笑いながらバスを降りて行く潔子さん。
うちも、それに慌ててついて行った。
あなた「ただいまあああああああ!!」
日向「ただいまああああああああああああ!!」
日向「おい、あなた!俺の方が長かったぞ!」
あなた「勝負なんてしてませーん」
月島「2人ともうるさい」
首根っこを掴まれ、ぐえっと声が出る。
あなた「扱い雑…」
月島「聞こえてますけど」
あなた「聞こえるように言ったんです」
月島「はぁ………」
月島くんは日向くんだけを下ろすと、うちの顔に自分の顔をグッと近づけた。
あなた「なんですか…」
月島「キミ、どんどん生意気になってなぁい?」
ニヤニヤ笑っているくせに、整っているのがむかつく…!!
月島「最初はあーんなに可愛かったのにね」
………………可愛い?
あなた「…月島くん、うち、可愛かったんですか?」
月島「…は?」
しばらくして自分の失言に気づいたのか、うわ…と嫌そうな顔をした。
彼が嫌がっているのが楽しくて、少しイヤガラセをしてみる。
あなた「今は?今は可愛くないんですか?」
じっと彼の顔を覗き込む。
彼はプイッとそっぽを向いて、小さく答えた。
月島「今も……可愛くない、わけじゃない………かも」
拍子抜けした。
しばらくして言葉を理解し、頬がものすごく熱くなった。
月島「…………何自分で言っといて赤くなってんの」
あなた「いや……まぁ…」
月島「冗談なんだけど」
…知ってるし。
うちのこと可愛いなんて思ってもないんやろ。
そう考えると、少しだけ、胸が痛くなった。
菅原「もー、2人の世界に入るのやめて!!」
肩を引き寄せられ、うちは菅原先輩の中にすっぽり収まる。
菅原「俺さぁ、相手が後輩でも、容赦しない主義なんだよねー」
おうおう、何睨み合ってんだ。
月島「くっつきすぎです菅原さん」
菅原「月島だってこれくらい近かったじゃん。合宿所で寝てる時とかさ!これくらい顔近かったし…」
菅原先輩はグッと顔を近づけてきて、鼻先わずか10cm。
あなた「わっ、わっ……」
月島「はぁ……」
月島くんはものすごく機嫌が悪くなり、どこかへ行ってしまった。
菅原「……ごめんね、月島」
あなた「菅原先輩?」
うちを抱きしめたままの彼の顔を覗き込む。
彼は「何でもないよ」と笑って誤魔化していた。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!