第154話

キラキラエフェクトって何?
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2021/06/22 22:00

あなた「はっ、はっ……」


谷地「あなたちゃん、……お疲れ様」



仁花ちゃんが、小さな手でうちの身体をさすってくれる。






澤村「………そろそろだな」




その言葉に、皆が立ち上がる。



あの時、抱いた悔しさを抱いて。





澤村「よしっ、行くぞー!!」



「「「ッシャー!!」」」














澤村「声出してけよー!」


日向「しゃーっ!」


田中「しゃーっす!」



烏野は一段と気合が入っているようだ。


皆は声を張り上げ、アップに入っている。



ふと影山くんに目をやると、彼はボールを落としてしまい、そのボールがコロコロと転がっていくのが見えた。………及川さんのところへ。


及川さんはそれを手に取る。しかし運悪くか、影山くんもボールに手を伸ばした。



そして、……そのままボールの取り合いに!?いやなんで!?



及川「これはこれはぁ!前回俺にコテンパンにやられたトビオちゃんじゃないですカ!」


影山「今回は勝ちにきましたっ…!!」


及川「お前は前回完膚なきまでに凹ましたからなぁ!残すは牛若ヤローただ一人!!」


そこで及川さんはパッとボールを突き放す。影山くんは勢いで転がってしまった。



及川「今回も!退いてもらうぜ飛雄ォ!あーっはっはっは!思い知ったかー!」


あなた「ゥオラーッ!!」


及川「ぐふぇっ!!」



あなた「ふぅ……みなさん、素敵な試合をしましょうね✨」


月島「華麗にドロップキック加えといてその爽やかさ何?」


日向「めっちゃ笑顔だし」









矢巾「なぁおい……烏野に女の子増えてる」


アップ中、近くでそんな声が聞こえた。


その声がする方を見ると、矢巾さんと金田一くんが仁花ちゃんの方を見ながら話している。



矢巾「綺麗系とおっとり系と、さらには可愛い系かぁ……」


パチリ、と目があった。


反射的に、笑顔で会釈をすると、矢巾さんはびくりと肩を震わせ、それから耳を赤くして、目を逸らした。何か悪いことでもしただろうか。


金田一くんはこっちに気づいてないみたいだけど。



金田一「そっすね……この悔しさなんでしょうか」


矢巾「うん……よしっ」



矢巾さんは途端にボールを掲げると、仁花ちゃんの方へそれを投げた。取ってもらうつもりだろう。


案の定、仁花ちゃんはそれに気づいて手を伸ばす。



矢巾「すみませぇん、取ってください……!(無駄なキラキラエフェクト)」





花巻「ヤベッ……危ない!」


レシーブをミスったようだ。


花巻さんが撮り損ねたボールは、仁花ちゃんの方へ一直線。仁花ちゃんはそれに対応できず、思わず目を瞑るのだが……




バシィイィィィッ!!




直前で、潔子さんがそれを薙ぎ払ったのだ。



田中先輩が恨みがましい目つきで矢巾さんにボールを渡していた。



あなた「かっ……カッコいい〜!!うおおおおっ、うちもあんな風に……!」


月島「あぁ、ホントに?じゃあやってみてよ」


あなた「ぐぅえええっ!!」



何も顔面に当てなくたっていいでしょ!!


尻餅をついたまま投げた本人を睨みつけると、月島くんはクスクスとこちらをみて笑っていた。



腹を殴ってやった。



月島「い''っ……!?!?」


縁下「あなたー、そこは女の子らしくポカポカ殴るとこだぞー」


あなた「そんなの罰ではありません!!真っ当な制裁を受けるべきです!!」


澤村「あなたも強くなったなぁ……泣」


菅原「親か」


あなた「パパー」



ノリに乗って、両手を広げて澤村先輩に駆け寄ってふざけてみた。


イメージ的には3歳のつもりである。



菅原「こらっ、男子高校生にそんなことしちゃいけませんっ!誘拐されますよ!」


澤村「誰が犯罪者だスガ!!」



全員でギャハハと笑いまくっていると、後ろからポン、と肩を叩かれた。















二口「今………良いか?」

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