稲荷崎高校を偵察した後,倫くんが兵庫探検してみる?って聞いてくれて。
いま、倫くんとデート中なのです☆
あなた「何食べましょう…」
角名「食べることしか考えてないの?」
あなた「あっ、クレープあるー!」
角名「ほんと子供みたい……」
いいもん、美味しいものは食べたもん勝ちだからねっ!
うちがクレープ屋さんに向かおうとしたら,倫くんはぎゅっとうちの袖を握ってそれを止める。
どうやら、近くに女子に人気の可愛い雑貨屋さんがあるみたいだ。
クレープも気になったが、可愛い雑貨も気になる。
というわけで,雑貨屋に向かおうとするのですが……
??「……ひゅにゃ?(角名?)」
角名「……治」
おにぎりを片手に口をもぐもぐ動かすその人は,先ほど会った侑くんにそっくり。
この人が,侑くんの双子の……?
角名「………あなた、挨拶」
唐突に名前を呼ばれ,ビクッと肩が跳ねる。
こちらを不思議そうに覗き込む治くんは、やはり侑くんにそっくりだ。
あなた「り、臨時マネージャーとして来ました,一年の兎和です」
治「兎和……?下の名前?」
あなた「いえ、下はあなたです…」
治「そーなん、」
と、もぐもぐおにぎりを食べ進める治くん。……彼は本当に2年生なのだろうか。
角名「………コイツすごく食いしん坊だから,いつか何か作ったげて」
あなた「あ、はい」
治くんと別れ,すぐに雑貨屋に向かった。
木造でできたそのお店は,少しレトロな感じがしてすごく可愛い。
早速中に入ると,からんからんとベルの音が鳴った。
「いらっしゃいませ」
あなた「おー、可愛い……!」
角名「……好きだと思った」
あなた「何でですか?」
角名「……予想?」
なんですか、それ……。
あ、この栞可愛い。ブックカバーもある。
倫くんの予想は大当たり,早速うちは、この店の虜になってしまった。
角名「………もう買った?帰るよ」
あなた「あっ、はい」
結局何も買わなかったけど,すごく楽しい時間を過ごした。
角名「………ここがアキさんの家。じゃ」
あなた「り、倫くん……送ってくれたんですか?」
角名「何のこと?」
そうやってとぼけるのも、一つの優しさだろうか。
ありがとう、倫くん。
角名「……あ、これ。はい」
倫くんに手を差し出され,反射的にうちも手を差し出す。
うちの手に置かれたのは,可愛らしいヘアゴムだった。
あなた「か、かわいい……」
綺麗な緑の野原に、真っ白なウサギがいる。周りには小さな花がたくさん咲いている。
そんな装飾でも目立ちすぎないこのヘアゴムは,本当に可愛かった。
角名「……じゃあ、また」
あなた「り、倫くん!!」
踵を返して帰ろうとする倫くんを呼び止める。彼はゆっくりと振り返り,小首を傾げた。
あなた「ありがとう!!」
角名「………うん」
彼は,微かに笑った気がした。
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ある方の行の間隔がすごく読みやすかったので,真似してちょっと行を広げました……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!