第193話

デート
2,113
2021/08/18 22:00

稲荷崎高校を偵察した後,倫くんが兵庫探検してみる?って聞いてくれて。


いま、倫くんとデート中なのです☆







あなた「何食べましょう…」



角名「食べることしか考えてないの?」



あなた「あっ、クレープあるー!」



角名「ほんと子供みたい……」








いいもん、美味しいものは食べたもん勝ちだからねっ!


うちがクレープ屋さんに向かおうとしたら,倫くんはぎゅっとうちの袖を握ってそれを止める。


どうやら、近くに女子に人気の可愛い雑貨屋さんがあるみたいだ。


クレープも気になったが、可愛い雑貨も気になる。


というわけで,雑貨屋に向かおうとするのですが……







??「……ひゅにゃ?(角名?)」





角名「……治」






おにぎりを片手に口をもぐもぐ動かすその人は,先ほど会った侑くんにそっくり。



この人が,侑くんの双子の……?






角名「………あなた、挨拶」





唐突に名前を呼ばれ,ビクッと肩が跳ねる。


こちらを不思議そうに覗き込む治くんは、やはり侑くんにそっくりだ。







あなた「り、臨時マネージャーとして来ました,一年の兎和です」



治「兎和……?下の名前?」



あなた「いえ、下はあなたです…」



治「そーなん、」






と、もぐもぐおにぎりを食べ進める治くん。……彼は本当に2年生なのだろうか。





角名「………コイツすごく食いしん坊だから,いつか何か作ったげて」



あなた「あ、はい」










治くんと別れ,すぐに雑貨屋に向かった。




木造でできたそのお店は,少しレトロな感じがしてすごく可愛い。


早速中に入ると,からんからんとベルの音が鳴った。






「いらっしゃいませ」






あなた「おー、可愛い……!」



角名「……好きだと思った」



あなた「何でですか?」



角名「……予想?」







なんですか、それ……。






あ、この栞可愛い。ブックカバーもある。



倫くんの予想は大当たり,早速うちは、この店の虜になってしまった。













角名「………もう買った?帰るよ」




あなた「あっ、はい」




結局何も買わなかったけど,すごく楽しい時間を過ごした。




















角名「………ここがアキさんの家。じゃ」



あなた「り、倫くん……送ってくれたんですか?」



角名「何のこと?」








そうやってとぼけるのも、一つの優しさだろうか。





ありがとう、倫くん。





角名「……あ、これ。はい」





倫くんに手を差し出され,反射的にうちも手を差し出す。



うちの手に置かれたのは,可愛らしいヘアゴムだった。






あなた「か、かわいい……」






綺麗な緑の野原に、真っ白なウサギがいる。周りには小さな花がたくさん咲いている。


そんな装飾でも目立ちすぎないこのヘアゴムは,本当に可愛かった。






角名「……じゃあ、また」




あなた「り、倫くん!!」








踵を返して帰ろうとする倫くんを呼び止める。彼はゆっくりと振り返り,小首を傾げた。












あなた「ありがとう!!」










角名「………うん」











彼は,微かに笑った気がした。










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ある方の行の間隔がすごく読みやすかったので,真似してちょっと行を広げました……

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