部室にて
久しぶりに部室に入ったというのに、目の前に飛び込んできたのは正座させられる4人の姿だった。
澤村「…いーかお前ら。まずお前らがこれから絶対に守ることは!!授業中に寝ないこと!」
旭「そこからなのか…」
澤村「根性だけでいきなり徹夜!日中の授業も部活もぐずぐず!なんてことはもってのほかだ!」
日向くん、倒れてるし…。
何もしないってのも何だし、掃除するか。
うちは澤村先輩の言葉を聞きながら、かけてある雑巾で棚を拭き始める。
月島「お先でーす」
「「おー、お疲れ〜」」
あぁっ、置いて帰りやがった!
天使菅原「だいじょーぶ。そもそも高校入試はパスできた訳だしさ」
田中「スガさぁん!」
堕天使菅原「まーこれで授業中寝てたら、マジ覚悟しとけよ」
わぁ…。
怖っ。
田中先輩が菅原先輩に怯えている間、日向くんは影山くんに何か耳打ちをしていた。
影山「…はぁ!?いやだ!」
日向「おいワガママ言うな!赤点取ったら、遠征行けないんだぞ!音駒だぞ?東京の強豪がゴロゴロなんだぞ!行けなくても良いのか!」
影山「…ちっ」
折れたようだ。
あなた「日向くん達、こっち方面でしたっけ」
日向「んーん、ちょっとお願い事があるんだ!」
影山「おい、月島いたぞ」
日向「ほんとだ!月島あああああああ!!」
夜だよ!声がでかい!
うちらの前にいた月島くんと山口くんは、2人揃って振り返った。
日向「…さん。勉強教えてくれ!」
月島「え…?嫌だけど」
あぁ、そういうことね。
勉強教えてくれって頼むために、こっち方面に来たんだ。
日向「1日数十分とか、それか勉強法をちょこっととかでも、」
山口「…部活前後に、ちょこっとぐらいなら良いんじゃない?」
ここに天使現る。
しかし、月島くんは意地悪な笑みを浮かべ…
月島「ちょっとぉ、小さい方にばっか頼ませるって卑怯じゃないのぉ?そっちのでっかい方」
影山「んぐっ」
日向くんは小声で「影山頼めよ!」と諭している。
うちにはどうすることもできない。
教えてもらうつもりないしね。
影山「…………教えてください」
月島「はいぃ?」
影山「…勉強、教えてください」
月島「よく聞こえないんですけどぉ」
影山「勉強を!!教えてくださいゴラアアアアア!!」
皆「「うわあああっ」」
烏養「うるせぇぞお前ら!近所迷惑だ!」
あ…ここ、坂ノ下商店の前だった。
「「さ…さーせん」」
月島「何で僕まで…」
あなた「むー…ほら!月島くんも山口くんも帰りましょ!日向くん、月島くんOKしてくれるみたいだから!また明日〜!」
月島「はぁ!?言ってな…ん」
グッと背伸びし、彼の口を両手で塞ぐ。
あなた「…ちょっとくらい、良いですよね?」
月島「…はぁ」
渋々了承してくれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!