「〇〇さんのことが好きでした!!付き合ってくださああああい!!!」
「……よ、よろしくお願いしますっ!!」
「「きゃああああっ!!」」
あなた「……盛り上がってるね」
白布「うるさ………来なきゃ良かった」
連れてきたの君でしょ。
続いては、(多分)一年2組?の男の子。まだ全員覚えられないなぁ…。
その子は屋上に設置された台に乗って自分の名前を言い、すうっと大きく息を吸う。
「ぼくにはぁっ、好きな人がいまああああす!!!」
おぉっ、中学で体験入学に来たときはこんなに告白なんてなかったぞ?
目立つところで告白するなんてすごいなぁ。うちだったらメンタルへし折れるかも。
「僕が落としたペンを拾ってくれた彼女に、一目惚れしました!!……一年4組の、兎和あなたさあああん!!!」
はーい。
……え?
白布「呼ばれてるぞ」
あなた「え?え?」
困惑しすぎて挙動不審な行動しかできない。
うち?一目惚れ?
………一目惚れできるほどの顔じゃない気がする……。
あなた「一目惚れできる顔じゃ」
白布「とりあえず返事だけしてやれ」
あなた「はーいっ」
ビシィっと元気よく手を挙げると、周りの人の視線がパッと集まった。
ひっ、視線が集まるのは苦手なんだけど…。
「僕と、付き合ってくださーいっ!!」
あなた「嬉しいけど……ご、ごめんなさいっ…!」
「「わあああああっ!!」」
周りからたくさんの声が上がる。
「なんで?」とか、「ドンマイ」とか。
そんな中,聞こえた言葉。
「良い子ぶんなよ」……って。
服のスカートを握る両手が震えた。
怖かった。
背筋に汗が伝って、顔を上げることもできなくて。
助けてくれる人もいな__________
白布「来い」
あなた「っ……」
そんなとき,手を引いてくれたのは。
不機嫌な顔をした、白布さんだった。
あなた「白布さん」
白布「………」
あなた「白布さん!?」
白布「っ……あ、悪い」
あなた「………嬉しかった。ありがとう」
うちがお礼を言っても,白布さんは眉間に皺を寄せたまま。
白布「…気にくわねぇ」
あなた「?」
白布「誰だよあなたのこと悪く言ったやつ。ちょっとぶっ飛ばしてくる」
あなた「ストーップ!!ここ他校でしょ!?…でもありがとう」
白布さんは、うちのために怒ってくれた。
単純に嬉しかった。
白布さんはまだ納得いかないみたいだったけど,うちが笑っているところを見たらまぁそれで許してくれたみたいで。
白布「なんかあったら絶対言えよ」
そう言って連絡先を交換してくれた白布さんの耳は、少し赤かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!