第63話

影山くんへのご褒美
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2021/02/28 21:57

その日の放課後。


うちは、学校の体育館でまだ練習をしている影山くんに声をかけた。


あなた「…影山くん」


影山「……」


あなた「カレー、行きませんか?」



影山「…行かない。結局負けちまったし」


あなた「んー…ダメです。頑張ったから、ご褒美です。ほら、行きますよ!」


影山「!?」



彼に学ランとカバンを押しつけ、校門に向けて走り出した。








ーカフェー


あなた「いただきまーす」


影山「いただき、ます」


うちはミートスパゲッティで、彼はポークカレーの温玉のせ。


まだしかめっ面だが、テンションは上がっているようだ。


あなた「…どうですか?」


影山「…んまい」


それはよかった。



影山「なぁ、あなた」


あなた「何ですか?」


影山「……ありがとう、(プイッ」


グサッ。


あれ、何か刺さった?


心臓にすごい衝撃来たんだけど。



あなた「いえいえ、こちらこそ何かもうホントありがとうございますもう悔いはございません神様」


影山「何を悟ったんだ?」



あっヤバい、昇天するとこでした…。



影山「…ありがとうございました、本当に」


あなた「う、うん?」


影山「…また、昔に戻りかけてた時、あなたの声に救われたっつーか、周りを見ろって言われた気がするっつーか」


あなた「……そっか!」


嬉しくなって、彼にニッと笑いかける。



そこから、もう2人の間に会話は無くなった。


自然と会計をして、自然と帰路についた。



あなた「…おいしかったですね」


影山「…おう」


あなた「また行きましょうか」


影山「おう」


即答やん…。



あなた「…影山くんは、もっと怖い人かと思ってました」


影山「…チッ」


あなた「あわわっ、今は違います!」



バタバタと手を振って弁解する。



あなた「あの、今の方が、何ていうかずっと柔らかいし、んー…今の方が、ずっと好きです」



影山「……俺、もう帰る」


あなた「えぇ!?うち良いこと言った気がするんですが!!」


影山「何かお前といると、心臓がおかしくなる」


あなた「マジですか!?わー、うち、すごい力持ってる!?領域展開とかできるかな!」




え、あの。



何だこいつみたいな目で見ないでもらって良いですか。

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