第48話

勝負の結果と、二口先輩
4,600
2021/02/07 22:00

流れは完全に烏野。


23対15で、かなり点差がついた。


2度目の旭さんのバックアタックにより_________







1セット目は、烏野が獲った。







国見「…あなた」


柵から身を乗り出して試合を見ていたうちの隣に、いつの間にか英くんが立っていた。


あなた「英くん…どうしたん?及川さんは?」


国見「あー…岩泉先輩が連れてった」


説教でも受けてんのかな。



国見「烏野、頑張るね」


あなた「ねー」


国見「…好きな奴とか居たりする?」


あなた「うん!皆大好き!」


国見「そうじゃなくて…恋愛、とか」


突然の恋話に、顔が熱くなる。



国見「え…居るの」


あなた「おらんよ!恋とか…まだ、はやい」


国見「…そ」


彼は、少しだけうちとの距離を縮めた。


そして、ぽんぽんと頭を叩いてくれる。




国見「…今はそれで良いよ」


あなた「う、うん…?」















国見「…俺が貰いに行くまで、待っててね」





あなた「え、うん…?」




国見「…伝わるはずないか」


『忘れて』と言う彼に、うちはまた頷く。


今日、英くん、ちょっと変…。


あなた「あ、第二セット始まる」


国見「…うん」



気づけば、彼は居なくなっていた。





第二セット


烏野がリードしているが、伊達工はすぐ食いついてくる。


現在22対24で、烏野のセットポイント。


ワンチャン、いける…!!




伊達工のサーブでスタートし、それをゆうくんがカバーする。


月島くんが打ったが、それは拾われてしまった。



ラリーがしばらく続き、旭さんと青根さんの押し合い_____


しかし彼の力に負けてしまい。



ボールはこっちのコートの地面に落ちてくる。




ゆうくんが近くにいるけど、間に合わない________、




その時。




ゆうくんはしゃがみ込み、足でそのボールを拾った。






あなた「えええええええ!!!」



全員「「足いいいいいいい!?!?」」



皆も驚いているみたいだった。



旭「西谷ナイスフォロー!」


影山くんがトスの体制に走る。




ネットから少し離れた、少し高めのトス。




エースは大きく踏み込んで、大きく振りかぶって_____________












鉄壁を、壊した。







ピーーーー!!!



全員「「うわああああああああ!!!」」



あなた「…っ!」



思わずコートまで走って、うちは旭さんに抱きついてしまった。



旭「え?」


あなた「やったぁ!さっすがエースです!」


旭「あ、ありがとう笑」





ピー!


全員「「ありがとうございました!!」」




烏野と伊達工が握手を交わす。



清水「勝った…」


あなた「ですね…!」



ドキドキがおさまらない。


また、皆の試合を観られる______。





西谷「やったっすね旭さん!」


日向「旭さん!伊達工ブロックどっかーんって!んで、向こうがブワッてなって、俺バクってされるのにぃっ!!」


月島「日本語で喋りなよ」


あなた「可愛いから良いじゃないですか」


月島「え…」


あからさまに引くのやめてもろて。




旭「…俺はエースだけど、お前らはヒーローだな」




旭さんの放った言葉に、皆は目を輝かせる。


皆を包み込むような声と言葉に、やっぱりエースだなぁって思った。










皆が使ったタオルをカバンに詰めていると。



??「…あ、さっきのブス」



聞き覚えのある声がして振り返る。



そこにいたのは、二口先輩だった。


3年生との会話を聞いていたら、この人が先輩だと判明したから、二口先輩と呼ぶことにしたんだ。



あなた「…なんですか」


二口「つーめたっ!何、怒ってんの?」


おちょくられるように笑われ、ますますムカついてくる。



あなた「…ブスとか言わないで」



二口「え?」



あなた「可愛くないことなんて分かってるし、!皆の方が可愛いことなんて、知ってるし…」



涙が浮かんできて、それが落ちないように、彼をキッと睨みつけた。



あなた「でも、可愛くないって言わないで…!」



二口「…っ」



うちが反抗したことに、彼は驚いたようだ。


めんどくさそうに息を吐いて、うちに近づいてくる。



手が伸びてきて、思わず目を瞑る_______







ぽん。




二口「…お前は可愛いよ。本気で言った訳ねーだろ、バーカ」



あなた「…ふぇ?」



拍子抜けした。



二口「何泣いてんだよ。俺女子の涙には弱ぇかんな」


タオルでゴシゴシとうちの目を擦ってくれる二口先輩。


あれ、案外悪い人じゃ、ない…?



思わず笑みが溢れる。




あなた「ふふ…ありがとうございます、先輩」



二口「んなっ…!」




??「…何してんの」












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