『やっぱり、ええ子や』………?
急にそう言われて戸惑ってしまい,うまく返すこともできなかった。
何でそんなこと言ったんだろ……話も繋がらないしなぁ。
先生「えーと問3を………きたばっかりだけど、兎和さん、できる?」
あなた「へ?あ、えーと」
急に当てられ,慌てて解答する。何とか合っていた。
隣の席に座るいっちゃんは、「こいつなんか考えてたな」とでも言いたそうな顔をしている。
だって、ちょっと気になるじゃないですか。
北さんが何で急にあんなこと言ったのか。
……って、こんなこと気にしているのはうちの方だけなんだろうね。
休み時間。
あなた「いっちゃん。あの……良ければ,一緒にごはん……」
イチカ「マジー!?食べよ食べよ、ほらほら!!」
いっちゃんはいつも一緒にご飯を食べている人たちに断りを入れ,うちの後ろをついてくる。
あなた「先約がいるならよかったのに……」
イチカ「だってアイツらとはいつでも食べれるやん!でもアンタは1ヶ月でもうおらんくなるし」
そう言ってニカッと笑ってくれるいっちゃんがとてつもなく可愛くて,うちはいっちゃんに飛びついてしまった。
あなた「……あ、いたいた。男どもー!今日はかあいい女の子を連れてきたぞー!」
侑「お前そんなキャラやないやん」
屋上の扉を開けると,そこにはすでにバレー部の2年達が集まっていた。2年といっても,双子+倫くんだけなんだけど。
イチカ「え!?ちょ、え?」
あなた「いっちゃんも一緒に食べていいですか?食べていいですよね?食べましょう」
角名「いや自己完結しないで」
イチカ「角名センパイや……」
あなた「ほらぁ、座ろ座ろ!」
いっちゃんの手を引っ張り,わざと倫くんの隣に座らせた。
彼女は憧れの先輩がいることにドキドキしっぱなしなのか,いつもの豪快さはない。
あなた「うわ、侑の隣……」
侑「嫌な顔すんのやめぇ」
イチカ「ちょっ、あなた……」
角名「花坂さん、弁当自分で作ったの?」
イチカ「あっは、はい、」
あたふたしてるなぁ……いっちゃんはサバサバしてるけど、実はちょっと奥手なのかも。
倫くんはそんなことも知らず,話しかけ続ける。
治「……角名が女子に話しかけんの,珍しいなぁ」
あなた「いっちゃんはいい子だから,それが分かってるんじゃないですか?(パクッ」
侑「ふーん……あっ、あなたの卵焼き美味しそうやん。ちょっとちょーだい」
あなた「ふぁ?」
時すでに遅し。おすし。
気づいた時には目の前に侑の顔があって。
うちの咥えていた卵焼きを,少しかじられた。
あなた「………へ?」
侑「んま。甘すぎんしちょうどええな」
侑は何事もなかったかのようにわらっている。
い、いま、いま………
あなた「………ばか」
侑「ん?」
あなた「侑のばかっ」
角名「(カシャッ」
あなた「くっ、唇当たってたらどーすんの!うちの初ちゅ……チューを、侑にあげなきゃだめなの!?そんなの絶対イヤ!!」
侑「あなたサン、ちょっと落ち着け」
あなた「もういいもんっ!!やっぱうちには烏野しかないもん!!……待って,烏野も結構危険なやつ居たわ。やっぱどっちもどっち!!」
治「あなた、はいトマト」
あなた「(パクッ」
角名「………食ってる時は大人しいんだけどなぁ…」
侑「あなたって怒ったらバブみ増すんやな。可愛い」
イチカ「アタシのあなたに手出したら容赦しません」
侑「セコムおるやん」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。