次の日の部活にて
あなた「お疲れ様です」
北「お疲れさん。今日からよろしくな」
あなた「はい!精一杯頑張ります」
北さんのほんわかするような笑顔を向けられ,うちの元気ゲージはぐんっと上がった。
うちは早速制服を脱いで,ジャージに着替える。
よし……今日から,本格的に稲荷崎のマネージャー。
皆さんのお役に立てるよう,頑張らなきゃ。
あなた「まずはスポドリを……」
大量のボトルを持って体育館の外にある手洗い場に向かい,早速作り始める。
うぅっ、11月近くともなるとやっぱり寒いなぁ……あ''っ、粉が飛んでいった。
蓋閉めといてよ………数分前の自分。
侑くんのジャージが濡れないように腕をまくり、お仕事続行。
烏野の皆………今何してるのかなぁ。って、部活してるか。
日向くん達の速攻とか,月島くんの毒舌とかがちょっと恋しい。
潔子さん、仁花ちゃん、元気ですか。こっちは野郎共しかいません。会いたいです。
自分から望んでこっちにきたものの,そう考えると少し寂しくも感じる。
………スポドリ作るの、プロったな。前より断然速いじゃん。
??「………なぁ、」
あなた「だぁっ………侑くん…」
侑「だぁって何やねん」
あなた「部活は?」
侑「今休憩」
あなた「えっ、早く持っていかなきゃ…っ」
数本のスポドリを抱え,体育館に慌てて走り出す。
………そこに、段差があるとも知らず。
侑「ちょっ、危なっ________」
あなた「わあああっ」
………あれ?転んでない…?
スポドリが地面に落ちる音も聞こえなかった。
背中側に温かみを感じて,そっと横を見てみる。
至近距離に、侑くんのお顔が。
侑「ほんま目ぇ離せん奴_________っ」
あなた「ご、ごめんなさ」
侑「………ははっ」
侑くんは軽く笑って,体勢を戻した。
うちもなんとか上半身を起き上がらせると、ふぅ、と一息吐いた。
スポドリが落ちる音がしなかったのは,うちの腕の中から抜けた一本を侑くんが受け止めてくれたからだ。
あなた「あの、ありがとうございます」
侑「顔真っ赤やで」
あなた「あっ、侑くんだって」
侑「えっ」
同時に顔を隠した2人。それで、また余計笑った。
侑「なぁ、さっきの近さやったら」
あなた「?はい」
侑「すぐキスできるな」
あなた「は_____________」
き……き……!?
侑くんは、「もっと赤くなった」と笑い転げる。
烏野の皆さん。
こっちもちょっと、難アリです。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。