第199話

猫みたいな治くん
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2021/08/24 22:00

あなた「おむっ、お邪魔しまぁす!!」







噛み噛みなのを誤魔化しつつ,双子の家へと足を踏み入れる。


彼らの家は年季が入っている木造建築だった。庭には色とりどりの花が咲いていて,ふと見ただけで心が癒される。






侑「あっ、あなたー!!……と、なんで角名がおんねん」



角名「いや……来いって言われたし」



侑「………付き合うとるん?」



角名「は」



あなた「へ」






じわっと頬が熱くなり、ぎゅっとジャージを掴んだ。



違うよ………












角名「……そうだけど」





あなた「は?」



双子「「はぁ?」」





角名「人の女に無許可で触るなんて,しないよね?」





あなた「り、…倫くん……?」








倫くん以外の3人(うち含め)は、ただただポカンと口を開けたままだった。










侑「あ''ーっ、誰やねんここにリンゴジュース置いたん!!」



治「自分で置きよったやろーが」



あなた「ねーねーコレ飲んでいい?」



角名「待ってそれお酒じゃない?」



侑「角名!!ひとんちでイチャつくなやぁ!!」



角名「してない」



治「あなたー、裏庭にやっと人馴れした野良猫おんねんけど,触る?」



あなた「おぉっ」



侑「抜け駆けやめぇやー!」










………騒がしい。(←元凶)







でも楽しいなぁ。わちゃわちゃしてるのを見るのが1番好きかも……なんて、縁側に座って猫を撫でながら考える。


その赤茶の猫さんはゴロゴロと喉を鳴らし,大人しく撫でられている。


そしてその様子を微笑ましく見ている治くん。


奥の方からは,まだ2人が争っている音がする。








倫くん、なんであんなこと言ったんだろう………







もしかして、うちを双子から守ろうとしてくれたのかな?


侑くんたちが急にグイグイくるから、それから守ろうとしてくれただけなのかも。


大丈夫なんだけどなぁ……ってことは、一応内緒にしておく。うちのためにやってくれたことだからね。







治「………にゃ」



あなた「え?」



治「……猫やったら撫でてくれるんやろ?」








………?








治くんはうちより目線を低くして,上目遣いでうちの(侑くんのだけど)ジャージを掴む。








あ、もしかして。






あなた「……撫でて欲しいんですか?」



治「………」







何も言わない。


スッと視線を逸らした治くんを見ると,図星みたいだ。


何故か彼のお尻に尻尾が、頭に猫の耳が見えた気がした。




黙って撫でてみると、治くんは嬉しさを噛み締めるみたいにきゅっと唇を噛む。


その頬は、すこしだけ赤くて。




……ちょっと、可愛いな。







右手で猫を,左手で治くんを。









それから数分後,倫くんと侑くんに引き剥がされたのは言うまでもない。









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