第30話

潔子さんと
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2021/01/20 22:06

烏養コーチがバスを合宿所の出入り口に停めた。


烏養「はよ乗れよー」


清水「あなたちゃん、隣くる?」


あなた「はい!」



日向「いーなー、俺もあなたともっと喋りたかった!」


あなた「向こうに帰ってから話しましょ!うちも日向くんともっと喋りたいです!」


ニカッと笑って答えると、日向くんは黙りこくって影山くんの方に行ってしまった。



おう、ジーザス。


可愛い子に嫌われてしまった。


あなた「………ハァ…」


清水「大丈夫?無理して隣に座らなくても…」


あなた「それはヤです!潔子さんの隣がいいです!」


清水「そ、そう…」


潔子さんは、うちの勢いに気圧されていた。





〜バスの中〜


あなた「潔子さん」


清水「なぁに?」


あなた「潔子さんは、好きな人とかいますか?」


清水「好きな人?」


うちの突然な質問にも、真剣に考えてくれる潔子さん。


清水「好きな人かぁ……そういえば、そんなこと今まで考えてこなかったかも」


あなた「ええっ、そうなんですか?潔子さん綺麗なのにもったいない」


清水「ありがとう(笑)。今はまだ…恋愛はいいかな」


日に照らされる潔子さんの横顔が綺麗すぎて見惚れてしまう。


清水「あなたちゃんは?いるの?」



あなた「うち、は…」




今日まで生きてきて、恋愛なんてしたことがない。


周りの友達の話を、この世のものとは考えてこなかった気がする。


『恋愛』なんてキラキラした世界は、うちとは無縁だと思っていた。


だから……



あなた「………恋とか分かんないかも、です。うちには無縁だと思って生きてきたし」



清水「君こそもったいないじゃない。こんな可愛い顔してるのに」


綺麗な指ですりすりと頬をさすってくれる。


うちはくすぐったくて、きゅっと目を細めた。


あなた「いつか、カッコいい王子様が迎えにきてくれたらいいのに」


清水「白馬に乗った?」


あなた「はい。キラキラしたかんじの」


清水「それは諦めよっかw」


潔子さんはクスクスと笑った。


清水「でも…いつか、好きな人は欲しいものだよね…」


クールでカッコよくて綺麗な潔子さん。


そんな潔子さんの可愛らしい一面を見て、少しだけ心の距離が縮まった気がした。





清水「じゃあ、あなたちゃん、男子バレー部でこの人いいなーとかある?」


唐突に聞かれて、応答に焦る。


いい人、かぁ…。


とりあえず、皆の良いところや特徴をあげてみる。


日向くんは明るくていつも元気を貰う。


影山くんはそっけないけど、いつもどこかで気にかけてくれる。


山口くんは可愛すぎて辛い()。


月島くんは………















月島くんは、どうなんだろう。



イジワル。



口調は普通なのに毒舌でむかつく。



たまに身長で煽ってくる。



ショートケーキが好き。



ブロックが上手くいった時、皆には見えないように少しだけ嬉しそうな顔をする。



ちょっと子供っぽいところがある。



たまに、すごく優しい。



一緒にいて落ち着く。








なんでだろう。


月島くんのことを考えると、その考えが止まらなくなってしまう。


彼の力だろうか。


超能力でも使えるのかな?



『ボクノコトシカカンガエラレナクナルヨ』っていう呪文とか?





………何考えてんだろ、うち。






考えてたら、眠くなってきた……。


あなた「分かんない……皆、かっこいいと思います……」


ノヤっさん「んぐふっ」


誰かが飲み物を吹くような声がしたのを最後に、うちは眠りに落ちた。












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