あなた「今日から本格的にマネージャー業ですね!」
角名「そうだね。頑張れ」
お兄ちゃんみたいに頭をぐりぐりされ、思わず頬が緩む。
角名「……何にやけてんの」
あなた「いえ……うちのまわり、お兄ちゃんお姉ちゃんみたいな人が多いなあって」
角名「キミが妹っぽいからね」
あなた「なんだと」
北「兎和さん、やっときた」
あなた「す、すみません!」
体育館の中で待っていた北さんの元へ走って行くと,北さんは早速説明を始めた。
北「まず、ドリンクなんやけど………って、ジャージ肩からずり落ちとるで」
北さんはこちらに手を伸ばし,優しい手つきでジャージを直してくれる。
落ち着く……北さんは,まるでお母さんみたいだ。
でもこんなに優しい雰囲気なのに,彼はほぼ笑わない。まだ北さんが笑っているのをみたことがない。
どんなふうに笑うのかな。気になるな。
北「……よし。じゃあ説明するわ」
あなた「あっ、ハイ!」
説明後。
北「……一通りはこんな感じや。出来そうか?一人で」
あなた「はいっ、頑張ります」
北「そうか、頼もしいわ」
あれ……?北さん、ちょっと笑った…?
あなた「可愛い!」
北「!!」
無表情でビクッとするのもかあいいです……。
あなた「すっ、すみません……北さん、笑うと一気に可愛くなるなって……って、何言ってるんだ」
頭を抱えていると,北さんはキョトンとして,それから目を優しく…若干細めた。
あれ……コレも笑顔…なのかな?
北「そんなん言われると思わんかった」
あなた「ほ、本当に無礼なことを……」
侑「ほんまや。北さんに失礼や」
あなた「ヒッ、逆ナn………侑くん」
侑「逆ナンっつったな。今言ったやんな」
…言ってないヨ。
北「どうしたんや」
侑「すんません北さん,コイツに用があって」
う……うちに?
ヤバっ,もしかして昨日のアレまずかったかな。実は知り合いだったりしたのかな。
だとしたら本当に申し訳ない……
治「俺らん家であなたの歓迎会すんねん。来てくれる……よな?」
侑くんの横からひょこっと顔を出した治くん。可愛すぎて息ができない。
考えもせず頭をぶんぶん縦に振ると,双子はパァッと明るい笑顔を見せてくれた。
あなた「………ってことなので,ついてきてください」
角名「むりぃ〜うるさい〜」
あなた「……うち、倫くんがいないとダメだから」
角名「……ほんと?」
あなた「…兵庫ではね」
周りから見れば,うちは結構バレー部の皆と仲良くしているように見えるかもしれない。
でも、実は少し緊張とかもしていて、倫くんほど慣れないでいる。……そう考えたらあの一本の電話だけで倫くんに慣れたのすごいな。
あなた「というわけで,来てください」
角名「俺が考えてることとあんたが考えてること,ちょっと違うだろうけど……分かったよ」
次回,ドタバタ歓迎会。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!