第194話

転校した時って周りの人の視線怖いよね
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2021/08/19 22:00

あなた「おおおおっ、これが稲荷崎の制服…!!」



アキ「レンタルだけどねぇ,可愛いでしょ,稲荷崎の」



あなた「ハイ!」









鏡の前でくるりと回る。


稲荷崎の制服はなんだか都会って感じがして,すごく可愛い。


うちは明るい色の髪の毛をまとめ,倫くんにもらったあのヘアゴムをつける。


……うん、これで良いかな。倫くん、気づいてくれるかな。







あなた「行ってきま………倫くん!」



角名「どーも」










玄関の前で待っていたのは倫くんだった。


相変わらず眠そうな顔をして,スマホをいじっている。







角名「堂々と出て来たけど,もう場所忘れてるかなって思った」


あなた「あ、あはは……」









図星。

















あなた「おーっ、ここが」



角名「いや昨日来たけど」










そうでした。


昨日と違うのは,制服姿の人がたくさん登校してるってこと。


そこら中から関西弁が聞こえて来て,なんだか新鮮な感じもする。








「なんやねんあの子,角名センパイとおるで」


「文句言いたいけど……あの子ええ顔しちょるからなんも言えへん……」








あなた「ええ顔しちょるって!!可愛い子達が言ってる!!嫌味!!」


角名「あの…………歩きづらい」








知らない人に囲まれているうちは完全に人見知りモード,角名くんと手を繋ぎ,影に隠れて登校している。


周りから見たら多分ただの変質者。








あなた「…………」


角名「ほんと、この1ヶ月間が心配……」






うちも心配。






















あなた「……み、宮城から来ました。兎和あなたです。…よろしくお願いします…」



先生「なんか好きなもんとか,ない?」



あなた「え?えーと………あ、バレーとシュークリーム!!……が、好きです……」






唐突に大きな声を出してしまい,きゅうっと縮こまる。


 
皆はそれに気づいて爆笑。顔が熱すぎて前を向けない。


うぅ……入学(?)早々失敗ですか……。



先生「じゃあ、あっこの空いてる席、座っときぃ」





皆の好奇の視線に晒されながら座ると,ちょうどHR終了のチャイムが鳴った。





や、やっと終わった……。







「なぁなぁ、シュークリーム好きなん!?うちも好きよ!」



あなた「ほ、ほんと…?」



「かわええなぁ、宮城から来たんやっけ?」



あなた「は、はい…その前は、博多に、」



「バレー好きなんやろ!?もしかして,バレー部の『アツムセンパイ』目当て?」



あなた「あ、あつむ?」






……あぁ、あの……アイツか。




あなた「………」







「あなたちゃんすごい渋い顔してる」


「嫌な思い出があるんやろな」



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