第200話

本当は……?
1,988
2021/08/25 21:00

侑side




騒ぎまくったあなた歓迎会も終わり,角名とあなたは帰ることになった。


あなたは疲れ切った表情で、でも楽しそうに角名と話し続ける。




………付き合ってるんやな。2人。




俺のあの気持ちは嘘やったように冷めていく。



やけど、…………すこし、ズキズキした。







あなた「……くん。侑くん?」



侑「………ん?」





あなた「またね」









わ………この笑顔や。




俺は、この笑顔を向けられたかった。





見てるだけで幸せな気分になる笑顔。




こんなん自分らしくないけど,心ん中で思うんは、自由やろ?







侑「………俺のジャージ」



あなた「…え?あ、これ、返した方がよかったですか」



侑「……んーん」




どっかで聞いた『彼シャツ』みたいで嬉しかっただけや。





あなた「お邪魔しましたー!」



角名「じゃ」



侑「待て角名」








とっさに角名を呼び止めていた。







『人の女に無許可で触るなんて,しないよね?』





とか言われたけど。





侑「奪ったるわ」




角名「……はぁ?」




よく分からない、と言う顔をしていた。



でも、その顔は絶対気づいとるやろ?





会って3日、知り合ったばかりの女。




………俺も,結構馬鹿なんやろうか。










あなたside




あなた「楽しかった……!」



角名「シンプルに疲れた……」






とか言って,倫くんもちょっと笑ってたくせに。


っていうのはやめておく。





うちの隣を歩く倫くんは、いつもより歩幅を狭くして歩いてくれているみたいだ。さっきから、ちょこちょこつまずいている。





あなた「……あっ、そうだ。さっきなんで『付き合ってる』って言ってくれたんですか?」



角名「……忘れて」



あなた「むーりー」





妖怪ウォ◯チのム◯カベの真似をして首を振ると,倫くんは無表情のままふ、と小さく息を吐いた。


そして本当に話したくなさそうに,視線も合わせず話し始める。







角名「…稲荷崎の中で俺が最初に知り合ったから。双子に取られるより,自分の手元に置いておきたいって思った」




角名「電話の向こうの声がずっと優しくて,寝るかと思った。会った時思ったより小さくてびっくりした。北さんの説明聞いてる時,めちゃくちゃ一生懸命だった。そういうさ……純粋なとこ,すき」




す………!?!?




角名「………なんてね。男子から守るために決まってんでしょ。俺が気ぃ遣ってやったんだから、感謝しなよ」





な''っ……




…さっきのドキドキを返してくださいよ。倫くんさん。





角名「あ、本気にしてた?ごめんごめん(棒)」



あなた「…キライ」



角名「俺は好き」



あなた「え」



角名「早く慣れなよ」





完全に年上に遊ばれてるっ……!!!







あなた「先に帰ってます!!じゃあまた明日!!」





















角名「………好きなのはほんとなんだけど」

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