第214話

放課後デートの約束とセコムたち
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2021/09/21 22:00

少し急ぎ足で家に帰り,お風呂に浸かり,ようやくお布団の中に入った。


布団も少し冷たい。体がガチガチと震える。



通話履歴の中から日向くんの名前を探してボタンを押すと,3コール目で出てくれた。



日向『もしもし!』


あなた「あっ、日向くん。さっきはごめんね,急に切っちゃって」


日向『んーん、あなたとお喋りするのずっと待ってた!』



可愛い……。



あなた「そうなの?ありがとう」


日向『えへへ、あなたの声,今日の俺のご褒美』



あざとい……。



あなた「……うちの声、ご褒美なの(笑)」


日向『おう!ふわふわしてて可愛っ……素敵な声デス』


あなた「そっか(笑)」



その日はただただ癒されました。













イチカ「おはよー!!ねね、今日放課後デートせえへん?」


教室に入るなり、うちに飛びついてきたいっちゃん。


うちはその衝撃に身体をよろよろさせながら親指と人差し指をくっつけてOKのポーズをする。



あなた「楽しみ!」


イチカ「ふふっ、あなたと出かけてみたかったんよー!」


あなた「うちもー!……あ、そういや、今度の合宿についての同意書貰ってない奴いたわ……ごめん、ちょっと行ってくる」


イチカ「いってらー!!」






2年の教室。


周りは知らない人ばかりで,しかも上背があって圧がすごい。


いっつもバレー部に囲まれてればこんなの日常茶飯事なんだけどね。


こっそりと教室の中を覗いてみると,ちょうど例の3人組が集まっているのが見えた。


意を決して教室に入り込むと,こちらに背を向けていた侑の背中をバシンと叩く。



侑「うおっ、なんや!!」


あなた「おはよ!!元気!?」


侑「朝からあなたが見れる日は毎日元気や!!」


あなた「きっ………あ、合宿の同意書貰って良いですか?君達だけなんだけど,出してないの」


治「こいつ絶対キモって言おうとしたやん」


角名「んと……あ、あった。はい」


侑「んで、これが俺とサムの分」


あなた「ありがと…」



侑と治くんの同意書、変にぐしゃぐしゃなんだけど。絶対ファイルに入れてなかったよね。


ちなみに,今回の合宿はうちは参加しないことになっている。ギリギリ帰る時間と被っちゃってたからね。





あなた「ふふーっ」


角名「なんでそんな嬉しそうなの……」


あなた「今日ね,放課後デートするんだぁ」




「「「は???」」」




あなた「え?」


侑「だっ、誰やねん!!」


角名「俺は許さない……!」


治「うるっさ………」





えぇ………彼らセコム?







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