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第11話

救出
第11話 救出

私は焦凍の手を拒んだ。焦凍は私のことが嫌いになったかもしれない。でもそれでいいのだ。私たちは最初から結ばれてはいけなかったのだから。それでも私がほんの数ヶ月でも人間らしい感情を持ってしまったのがそもそもの間違いだったんだ。ありがとう。そしてごめん。さよなら焦凍。

「皆で爆豪を救出するんだ」
救出作戦開始の鐘が静かに鳴った。

「ヤオモモから発信器のヤツもらって・・・・・それ辿って・・・自分らで爆豪の救出に行くってこと・・・・!?」
いつもはニコニコしているハッピーガールの芦戸も深刻な表情で話をまとめた。
緑谷の病室で提案された爆豪救出作戦。
八百万が取り付けた発信器をたどって敵連合のアジトへ乗り込もうと。
切島と轟が熱の籠った口調で語る。
二人は静かな、だが有無を言わさない決意の光を瞳に乗せていた。
「ふっ、ふざけるのも大概にしたまえ!」
「待て。落ち着け」
現場にいた障子が待ったをかけた。
「切島の「何も出来なかった」悔しさも轟の「眼前で奪われた」悔しさも分かる」
皆が下を向いた。
「俺だって悔しい。だがこれは感情で動いていい話じゃない」
青山と常闇も難色を示す。他の面々も困ったように下を向いたままだ。
「皆爆豪ちゃんが拐われてショックなのよ。でも冷静になりましょう。どれ程正当な感情であろうとまた戦闘を行うというのなら───」
梅雨ちゃんが一度言いづらそうに口ごもる。
「ルールを破るというのなら・・・・・・・その行為は敵のそれと同じなのよ」
轟と切島が救出を宣言した時以上の沈黙がおとずれた。
「お話し中ごめんね。緑君くんの診察時間なんだが・・・・・」
「い・・・・・行こうか。耳朗とか葉隠の方も気になってたし・・・・・」
「八百万には昨日話をした。行くなら即行・・・・今晩だ」
切島が緑谷に囁く。
「重症のおめーが動けるかは知らねぇ。それでも誘ってんのは、おめーが一番悔しいと思うからだ」
緑谷が何かをこらえるように下を向く。
「今晩・・・・・病室前で待つ」

私は裏会に居座ったままだ。
命令が取り消されるか、新たに下されるまで動けないから。
結局私は縛られたままで、自分から脱け出そうともしていないのだ。

焦凍はもう見限ったかもしれない。私と違って幸せになれるから。
私と関わったらきっと焦凍も裏会に縛られる。
それなのに、私は交際を受け入れた。
心の奥底では道連れが・・・・・欲しかったから。
                        
ズキッ

不意に頭痛がした。

ズキズキ

こんな頭痛はあの時以来だ。

ズキズキズキズキズキズキズキ

そう、私の大切な人はいつも

ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ

すぐにいなくなる

ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ

幸せって、なんだっけ

ズキッ

私はなんでこんなことしてるんだっけ

ズキズキ

何で厭なことしなきゃいけないんだっけ

ズキズキズキズキ

どうしてだっけ
先生
あの時教えてくれなかったね
私はどうして遺されたのか
何で啼いたらいけないのか
私の人生はいったい何時狂ったの?

ズキ ズキ ズキ

フフフ。ハハハ

ズキッ ズキッ

何だかとても楽しい気分。ふとポケットからナイフを取り出した。頭痛のせいでまともにものが考えられない。

「やめろ。何をしている!?」

ナイフで刻んだ腕から血が流れた。

ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ

ナイフを舐めた。血の味がする。そうしたら頭痛が和らいだ気がして。腕も舐めた。この赤は、

赤はね、私の大切なもの、みんなとっていくの。私だけ遺して何でもとっていくの

私はおかしくないの
おかしいのは皆のほう

ズキズキズキズキ

・・・・・・・?
ものすごく楽しいのにどうしようもなく淋しい。なんでかなぁ。

ズキズキズキズキズキズキズキズキズキ

何だか頭が痛いな。
・・・・・・・あれ?さっきから痛いのは何処だっけ
頭痛がして、腕を刻んで、

ズキッ

痛くて
淋しくて
救けて、ほしくて
狂ってることなんか解ってる
見ないふりしてしたのも
知ってる
覚えてる

ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ

嗚呼、痛い


「やめろ・・・・と言っている」


目の前に靄がかかったみたいに景色が白い
意識が朦朧とする
誰かが何か言ってる
私は意識を手放した

遠のく景色のなか
最後に見たのは


赤い赤い




血の色だった

































































轟、切島、緑谷、飯田、八百万の五人は爆豪の救出へ向かった。
(無事でいてくれ。・・・・・・・・弥生)
このとき轟は知る由もなかった。
弥生の心の闇の深さに。弥生と裏会の約束に。
自分が弥生を裏会に縛りつけていることに。

「おい、本当に金髪女はここに連れてこられてないのか?」
ここに来てから何度も何度も繰り返した問いだ。
「いない」
死柄木とかいう手を顔につけた男がきっぱりと言った。たしかに途中まで敵連合に捕まっていたはずなんだが・・・・。
「どーもォ。ピザーラ神野店です」
爆豪の思案を吹き飛ばすかのようにオールマイトがスマッシュで敵連合のアジトを破壊した。