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第7話

林間合宿
第7話 林間合宿

「林間合宿だ」
「学校っぽいのきたぁぁぁあ!」
「赤点の奴は合宿先での補修地獄だ」
「うわぁあ!」
「「あんまりだぁぁあ!」」

キーンコーンカーンコーン

HRが終わると教室は一気に騒がしくなった。
「ね、A組のみんなで買い物に行こうよ!」
葉隠が提案する。
「行くか?」
「ううん」
(本当は行きたいけど言えば組織が用意してくれるからな。それに、むやみに公共施設を利用する必要もないし)
「焦凍は?」
「行かない。母さんの見舞いがあるから」
「そっか。私も会いたいな」
「近いうちに連れていく」
「うん」

二人は公園でお喋りをすることにした。いつもの他愛のない会話。
「いつ母さんに会いにいくか」
「いつでもいいよ。休みの日なら」
「じゃあ夏休み中には」
「うん」
いつだって会話は長くは続かない。互いに触れれば壊れてしまうような儚く脆い関係に怯え、戸惑っているのだ。
「林間合宿ってどんなことするんだろうね」
「普通の訓練とはやっぱり違うだろうからな」
「水着とか、レジャー用の靴とか何に使うんだろうね」
「さあな」
『仕事だ。最寄りの駅に向かえ』
「・・・・・・ごめん。ちょっとヤボ用が出来た」
「・・・・・」
「ごめん・・・・・」
「またな」
「うん」

『合宿中に何かあったらヒーローではなくこちらの指示に従うこと』
「了解」
『たとえ轟とかいう男が危険な目にあったとしても必ずこちらの指示に従うこと』
「了解・・・・」
『言っておくがあの時生きることを選んだのはお前だ。そして約束を結んだのも。お前が指示に従っていればお前の大切な物に手を出すことはない』
「・・・・・分かっています」
『・・・・・お前には期待している、からな』
「・・・・はい」
私の林間合宿はあまり楽しくなさそうだ。

「さっさとバスに乗れ」
「私焦凍の隣がいい」
「いいぞ」
全員がバスに乗り込んだところで出発した。
「こういう時って何したらいいの?」
「分かんねぇ」
「そっか」
ぎこちない沈黙が続く。それは気詰まりするような沈黙ではなく、お互いの距離をはかっている間の、二人にはこそばゆいくらいの優しい沈黙。何を喋るでもなく二人はただバスに揺られていた。

一時間後
「あれ?ここパーキングエリア?」
「見渡す限り一面山にしか見えないけど・・・・・」
弥生はスッと目を細めた。
嫌な予感しかしない。
「よーう、イレイザー」
そのとき不意に若い女の声が聞こえた。
「ご無沙汰してます」
相澤が応答する。
「煌めく眼でロックオン!」
「キュートにキャットにスティガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」」
「今回お世話になるプロヒーロー、プッシーキャッツのみなさんだ」
「すごい!」
年齢を暴露したのに等しい発言をした緑谷はウサギがモチーフのヒーローコスチュームを着た女性にベフッと殴られた。
「ここら一帯は私たちの私有地なんだけどね、あんたらの宿泊所はあの山のふもとだよ」
「遠っ!」
確認出来ないくらいの遠い遠い場所にあるらしい。
猫をモチーフにしたヒーローコスチュームを着た女性がニヤリと笑った。
「え?じゃあ何でこんなに中途半端な所に・・・・?」
「バ、バス戻ろうぜ?な?」
A組の生徒が何かを察してざわざわし始める。
「今は午前9時30分・・・・早ければぁ・・・12時前後かしらん」
「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね」
土地が盛り上がってA組の生徒たちを捉える。そして森の中にペッと吐き出した。
「私有地につき"個性"の使用は自由だよ!」
「今から三時間!自分の足で施設までおいでませ!」
「この魔獣の森を抜けて!」
A組の生徒たちは呆然としながらも立ち上がる。

みんなが叫ぶ中、弥生は"個性"で身体能力を上げ、一人で上空を飛ぶように移動した。


数時間後
「やーーっときたにゃん」
「とりあえずお昼は抜くまでもなかったねぇ」
「何が三時間ですか・・・・」
「てか弥生ちゃん早すぎ・・・・」
「腹へって死ぬ・・・・」
「悪いね。アレ私たちならって意味」
「実力差自慢の為か・・・・・」
「ねこねこねこ・・・・・でも正直もっとかかるかと思ってた。私の土魔獣が思ったより簡単に攻略されちゃった」
褒められても嬉しいどころか逆に憮然とした表情をする生徒たちにプッシーキャッツの二人───マンダレイとピクシーボブ───はあっけらかんと笑った。
「いいよ。君ら。・・・・・特にそこの五人」
ピクシーボブが見ているのは弥生と轟と爆豪と緑谷と飯田。
「躊躇のなさは経験値によるものかしらん?・・・・三年後が楽しみ!ツバつけとこ!」
ピクシーボブはそう言って五人にツバを撒き散らす。
五人は迷惑そうに逃げた。
「マンダレイ・・・・・彼女あんなんでしたっけ」
「彼女焦ってるの。適齢期的なアレで」
「適齢期といえばそこの男の子は誰かのお子さんですか?」
「適齢期といえばて!」
緑谷がピクシーボブに再度ベフッと殴られる。
下を見ると確かに小さな男の子がこちらを見上げていた。
「ああ。その子は私の従甥の洸太だよ。ほら洸太。一週間お世話になるんだから挨拶しな」
マンダレイが説明する。
「え、えと雄英高校ヒーロー科緑谷出久です。よろしく」
緑谷がそう言って手を差し出すと。
「黙れ」 
そう言って男の子は緑谷の急所をぶん殴った。緑谷が悲鳴をあげて倒れる。
「おのれ従甥!何故緑谷くんを!」
飯田が緑谷を抱えて叫んだ。
周りの男子生徒もドン引きしている。
さようなら緑谷永遠に。いい奴だったよ。
お前のことは忘れない!

プッシーキャッツの二人に案内されて宿泊所に行くと豪華なご飯が用意されていた。お腹が空いていた生徒(B組含む)は歓声をあげてご飯をたいらげた。


ご飯が終わると当然
「まぁぶっちゃけ飯とかどうでもいいんすよ。オイラはそこらへんちゃんと分かってるんすよ」
「一人で何言ってるの峰田くん・・・・・」
お風呂の時間である。
「この板を隔てて女子たちが風呂に入ってるんだったら」
「・・・・・だったら?」
「見に行くしかないだろォ!?特に弥生さんの裸をな!」
弥生に想いをよせている男子は多かったので峰田の
言葉に多くの男子が唾をごくりとのんだ。
(弥生の風呂を覗き見・・・・・?ダメだ。絶対ダメだ)
弥生の彼氏として見せる訳にはいかない。
残念なことに轟はその(謎の)正義感が端から見たらただの変態だ、ということに気づかなかった。
「峰田・・・・見損なったぞ」
轟が言うとみんなが驚いて轟の方を向いた。
「知るか!壁は越える為にある!プルスウルトラ!」
「校訓を穢すんじゃないよ!」
峰田は"個性"であるもぎもぎを駆使して恐るべき速さで壁を登った。
「早っ」
(ついに!女子たちの裸を!)
「ヒーロー以前に人としての勉強をやり直せ」
洸汰が板の間から峰田を突き飛ばした。
「クソ餓鬼ぃぃぃい!」
(よ、良かった・・・・)
轟はホッと息を吐いた。
「洸太くんナイス!」
「ありがとうー」
ニコニコと微笑む女子たちにのぼせて洸太が塀から転がり落ちたのは、たんなる余興である。