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第18話

文化祭・前夜祭
第20話 文化祭・前夜祭

「文化祭があります」
「ガッポォオオオイ!!」
相澤から告げられた瞬間教室が湧いた。最後列は毎度一番静かだ。
(文化祭・・・・初めてだな)
「先生今日はエリちゃんのところへは?」
エリちゃん救出に関わった梅雨ちゃんが問う。
「ああその事については後ほど」
「文化祭って楽しい?」
「知らねぇ。雄英文化祭は初めてだから」
「中学生の時は?」
「あんま覚えてねぇ」
「ハッ!いいんですか!?このご時世にお気楽じゃ!?」
「切島・・・・・変わっちまったな」
「でもそーだろ敵隆盛期のこの時期に!!」
「もっともな意見だ。しかし雄英もヒーロー科だけで回ってるワケじゃない。体育祭がヒーロー科の晴れ舞台だとしたら文化祭は他科が主役。注目度は比にならんが彼らにとって楽しみな催しなんだ」
(まあ、ヒーロー科は体育祭以外でも活躍の場はあるわけで)
「そして現状寮制をはじめとしたヒーロー科主体の動きにストレスを感じてる者も少なからずいる」
「そう考えると・・・・申し訳たたねぇな・・・・」
「ああ。だからそう簡単に自粛とするワケにもいかないんだ。主役じゃないとは言ったが決まりとして一クラス一つ出し物をせにゃならん。今日はそれを決めてもらう」
「ここからはA組委員長飯田天哉が進行をつとめさせて頂きます!スムーズにまとめられるよう頑張ります!!」
(((気張ってんなぁ)))
「まず候補を挙げていこう!希望のある者は挙手を!」
その後は意見の嵐だった。
「静かにィ!静かにィ!!」
キーンコーンカーンコーン───
「まとまりませんでしたわね・・・・・」
「実に非合理的な会だったな。明日朝までに決めておけ。決まらなかった場合・・・・公開座学にする」
(((公開座学!!)))
しばらくして皆が寮に戻った。
「ヒントはないか・・・・・」
飯田が見ているのはパソコン。YouTubeを視聴しているようだ。皆が話している間に弥生は職員室へ向かった。相澤に来るように言われていたのだ。ちなみに出し物については決定に従うことにしている。
「悪いんだが文化祭は警備をしてほしい。警備が足りないらしい。クラスの出し物にも参加できない」
「そうですか・・・・・。了解です」
『弥生、一緒に回らないか』
(ごめんね、焦凍。ちょっと怪しいかも)
珍しく露骨にがっかりした教え子兼弟子を見て相澤は言葉をついだ。
「悪いな。初めての文化祭なのに」
「いえ、仕事なので」
業務連絡を終え、職員室を後にした。弥生は次に轟の部屋を訪れた。ちなみに出し物はライブに決まったらしい。結構時間が経っていたようだ。
「焦凍、文化祭、一緒に回れないかも。警備をしないといけなくなっちゃって」
「そうか。仕事なら仕方ねぇな」
「まだ可能性はあるから。最悪ぶちぎって行くから。でも出し物は参加できないかな」
弥生は切なそうに微笑んだ。
「来年は絶対一緒に行こう」
「うん」
弥生が去った後、轟は何かを真剣に考えていた。

翌日 放課後
「今日から練習始めるんだろ、弥生はどうするんだ?」
皆には参加できない事を伝えた。残念だけどこういう支え方もあるかなって思ったら気分はちょっと浮上した。
「特に決めてないけど仕事と打ち合わせで埋まるかな」
「そうか」
「焦凍、私がいない間に彼女とかつくらないでね」
「当たり前だ」
「本当?信じてるからね。浮気したら来世まで呪うから」
「ああ。大丈夫だ」
まあ、焦凍なら間違いないと思うけど。一応、ね。
文化祭が楽しめないのは残念だけど仕方ないか。
「ん、ちょっと用事できた」
もうこの頃には焦凍やA組の皆は私の「用事」の意味を正しく理解していた。
「ああ、気をつけて。怪我しないようにな」
「うん」
「いってらっしゃ~い」
「いってきます」
学校を出て"個性"を使いフワリと上昇する。薬も貰わないといけないし学校と平行して仕事をこなすという面倒な苦行のせいで五十嵐にも迷惑かかってるし。五十嵐に借りを作るのがすっごく嫌なんだよね。色々意味不明な事言われるし。ああ、もういつもの場所に着いた。
「No.0、着いたか」
「はい」
見て分かるでしょうが。全く、イライラする。
「雄英文化祭は警備だそうだな」
「はい」
なんか違和感を感じるなあ・・・・。五十嵐にしてはまわりくどいというか。
「午後は回るんだろう。轟と」
「はいそうですが。予定が合えば」
「ふん・・・・・本当だったのか・・・・」
「何がですか?」
どこから漏洩したそんな情報。
「いや、こちらの話だ。それより次の仕事の話だ」
「はい」
「面倒で楽しくない仕事だ。金持ちのジジイが敵を使い宝石を盗ませ闇ルートで流して手持ちの肥やしにしているらしい。敵は好きにしていい。ジジイは抹殺しろ」
「了解」
最近こういう子悪党討伐が多いんだよねぇ。もっとこう、グッとくる相手と手合わせしたいんだけど。まあ仕方ないか。あくまで「裏」だしな。
「しばらく裏会も表立っては動けない。壊理救出の以前から敵のチームでの動きが多い。犯罪件数も増えている。オールマイトが引退して人々は不安になっている。余計に不安を煽ってはいけない」
そう、平和の象徴オールマイトと闇の支配者オールフォーワンがいなくなったことで敵犯罪、敵チームアップに拍車がかかっていた。闇には今、支配者がいない。
「分かっています」
ちまちま整備していくしかない、か。
「それと薬だ。気をつけろよ」
「了解。ありがとうございます。では任務へ」
薬を受け取った。また量が増えている。
「弥生っ・・・・・・!」
「・・・・・・・?五十嵐?」
思わず振り返って確認した。
何故か心を直接掴まれたような気がして。
「いや・・・・・・・何でもない」
「なら、いいんですが・・・・・」

訝しげにしながら弥生は任務へ出掛けていった。
腕がどんどん細くなっていく。
"個性"が暴走するのが中身を弄られたからということも、弥生が二十歳まで生きられないことも。
あと少し俺が早く拾っていれば。
弥生が割りきっていても俺は割りきれなかった。
俺が愛した人は皆不幸になっていく。
薬の量が、種類が増えていく度に弥生は細くなっていく。日に日に死の影が濃くなっていく。それでも明るく笑って日々を過ごす。
もう救う手立てはないのだということを、いっそのこと知らなければよかったのに。
拾ってしまわなければよかったのに。
愛さなければ、よかったのに・・・・・。

「はあ・・・・こんな無抵抗の爺さんを殺しても、楽しくないんだけどな」
使用人と爺さんを殺した返り血は爺さんの屋敷の風呂を借りた。髪についた血を丁寧に落とす。
「っ、・・・・・」
あと何年、生きられるかな。中身も・・・・・荒れていってるし。
ま、私の精神力の問題もあるけどね。
血を落とし終わっていつもの場所に向かう。報告は後でもいいんだけど身体の調子が良い時に出来るだけ仕事を済ませておきたいから。
「No.0、ただいま戻りました」
「早かったな。仕事はしばらく無い。殺人部の奴らもそれなりにやる気を出して任務についているからな」
「そうですか。では私は戻ってもよろしいでしょうか」
「ああ。ご苦労だった」
敬礼してくるりと後ろを向く。"個性"を発動させ跳びたとうとしたその時。
「弥生・・・・・っ、」
唐突に抱きしめられた。"個性"を解き、声を出す。
「い、五十嵐?」
しばらくして離されたあと、私は跳んで帰った。
一度も後ろを見なかった。
焦凍に全てを話す覚悟も無い。
そして多分、全てを知った時の焦凍にも愛する覚悟は無い。しょせん、その程度。
だから、少しだけ。認めるのは悔しいけど。

────五十嵐の覚悟が、愛が、嬉しいんだ。

寮に戻るともう夜の1時だった。寄り道もしたし。その日はすぐに布団を被って寝た。

翌日、五時に目が覚めた。基本的に早起きな方だけどまだ今日は遅い方。この時間じゃまだ皆起きてないよね。
暇だし刀の手入れでもしようかな。すぐ時間は過ぎて朝ごはんの時間になった。別に時間が決まってるわけじゃないけど。
皆に挨拶をしつつ焦凍の姿を探す。
「おはよ、焦凍」
「おはよう」
今日は日曜日。皆文化祭の準備をするんだって。そういえば相澤先生がエリちゃんを連れて来るって言ってたっけ。一応準備は私も手伝うから頑張らなきゃ。
目的があるっていいよね。何もなければいいけど。

しばらく経ってエリちゃんがやって来た。緑谷くん、切島くん、お茶子ちゃん、梅雨ちゃんと親しげに話していた。通形ミリオ先輩も来てた。
エリちゃんは私には気付いてないっぽいな。まあ印象全然違うもんね。あのボディースーツと制服じゃ。
気付いても気付かなくても問題はない。
もう皆事情は知ってるから。
色々手伝おうと思ってたけど、役割で分かれてるからあんまり出番は無いんだよねぇ。ちょっと残念。
まあ警備に専念するか。パトロール中に見て回れるし。パトロールと称して焦凍と回ろうかな。
うん、普通にアリ。だって手当少ないし。未成年をこき使うんだからもっと出してほしいな。
それは別にいいんだけど。
でも文化祭、楽しくないよなぁ、警備とか。